(イラスト:いらすとや)
顎関節症の治療方法としては、原因を解消する治療と痛みなどの症状を緩和する治療をその人の症状に合わせて、組み合わせて行われていきます。
それでは具体的な治療方法を解説していきましょう。
①認知行動療法
ブラキシズムやクセなどの、顎関節症の原因となる悪い習慣やその背景を探っていき、本人にまず自覚をさせて、それらを取り除くようにします。
②物理療法
痛みの軽減のため、患部を温めたり冷やしたりします。
③運動療法
口を開けたり、顎を動かす訓練をして口が良く開くようにしていきます。
④スプリント療法
歯列を覆う装具をスプリントといいますが、これを装着することで、顎関節や筋肉への負担を軽くして歯ぎしりや食いしばりを緩和させます。
⑤薬物療法
痛みが強いときなどに、薬で炎症を抑えたり筋肉が痛みで固まっているときに、筋弛緩剤を使ったりします。
または夜間のはぎしりや食いしばりを抑制するために入眠剤、痛みの軽減のために抗不安薬、抗うつ薬を使う場合もあります。
⑥外科療法
これまでの治療で改善されないばあいですが、こういう場合は外科療法が使われる場合があります。
関節内に強い炎症がある時に、針を刺して関節内部の物質を洗い流す関節腔内洗浄療法もしくは、関節内で関節円板と骨の癒着がある場合は、それをはがす関節鏡手術などがあります。
⑦咬合治療
咬み合せが顎関節症の原因なのかもしくは結果なのか、その関係はまだわかっていません。
咬み合せの異常が原因となっていて、それを取り除くことにより、症状が改善されるのであれば、初期段階ではごく簡単な咬み合せの治療を行います。
(イラスト:いらすとや)
<治療はセルフケアが中心なのを知っていますか?>
顎関節症の原因は生活習慣からくることが多いので、患者自身が行う自宅療法つまりセルフケアが治療の中心となってきます。
顎関節症を起こしている歯ぎしりや編咀嚼などの悪い習慣をまた、それを誘発する背景などを把握してそれらを取り除くことをしないと、根本的な治療になりません。
またそれは症状の改善と一緒に再発の予防にもなります。
それでは主なセルフケアの紹介をしましょう。
①歯を接触させない
くいしばりをしないようにさせます。
上下の歯が接触するのは物を噛むときだけで、通常では歯を接触させないようにして余計な負担をかけないようにします。
②硬いものは食べない
痛みや口が開けにくい症状がある時は、しばらくは固いものをたべないようにします。
③口を大きく開けることをしないようにする
無理に口を大きく開けない。工夫をします。それは食べ物を小さく切る。
会話の中でのあくびや歯医者での治療も要注意です。
④冷湿布と温湿布
痛みの急性期には、冷湿布が有効的に効果を出します。
ただ顎を動かさずに冷やし過ぎると、血液の循環が悪くなりますので注意が必要です。
慢性的な痛みがある場合は、温湿布をすると筋肉の緊張や痛みが緩和されます。
⑤マッサージ
顎の筋肉が痛む時は、マッサージをすると血行がよくなり痛みが軽減されます。
コツは弱っている筋肉を傷めないように強く揉み過ぎないようにしてください。
(イラスト:いらすとや)
⑥姿勢をよくする
立っているとき、座っているときの姿勢を正しくするようにします。
猫背や顎を突き出すような姿勢になっていないか注意してください。
また同じ姿勢を長時間続けないようにして、時々にはストレッチなどで体を和らげてあげます。
⑦うつ伏せ寝をしないこと
うつ伏せは顎や首の筋肉に負担がかかるので、仰向けでねるようにしてください。
枕は高いものは避けるようにしていきましょう。
⑧あごの運動をする
関節や筋肉の痛みが緩和されたら、少しずつ顎の運動を行ってください。
口の開け閉めや顎を横に動かしたり、首や肩のストレッチをします。
顎の筋肉のエクササイズをするときは、必ず医師に相談をして行ってください。
⑨リラクゼーション
緊張をほぐして顎に負担をかけないようにします。
仕事などで長時間緊張が続くようであれば、ときには緊張をほぐし、筋肉をやすませるようにします。
意識的に筋肉の力を抜いていくリラクゼーションなどを行うといいでしょう。
またストレスがかからないように注意してください。
⑩全身運動
ウォーキングや水泳などの全身運動をすることをお勧めします。
基礎体力の維持や全身の血行をよくするためにも、また気分転換やストレス解消の効果もあります。
⑪顎に負担をかけない生活をしましょう。
歯を食いしばるスポーツ、管楽器の演奏、口を大きく開ける発声練習などには注意をしてください。
また頬杖をつかないように、食べ物は両方の奥歯で咬むように。
以上を心がけて生活をしていきましょう。
きっと、顎の調子がよくなるはずです。