増え続けている脳梗塞。
脳の血管が詰まっておこる病気を、ひとまとめに「脳梗塞」といっていますが、血管が詰まる原因で脳梗塞はさまざまな種類にわけられます。
今回は脳梗塞をタイプ別にご紹介していきたいと思います。
【アテローム血栓性脳梗塞】
全体の30パーセント強を占める、アテローム血栓性脳梗塞は、脳の太い動脈が詰まることによっておこります。
首から脳に通じる部分に頸動脈がありますが、この頸動脈や脳内の太い動脈が硬化することによりおこります。
「アテローム」というのは、血液中のコレステロールなどが血管壁に入り込み、病気の時に食べるおかゆのようにドロドロとした塊ができるその塊のことをいいます。
血管壁にこの「アテローム」ができてしまうと、それにより血管が狭くなるため血液が流れにくく、血栓もできやすくなります。
もともと欧米人に多いのですが、食事の欧米化などのせいか日本人にも近年増えてきています。
脳梗塞のサイズも比較的大きいことが多いので、運動麻痺などの障害が残りやすく症状も重くなることが多いといわれています。
【ラクナ梗塞】
全体の30パーセント強を占める、ラクナ梗塞は、脳の深部にある比較的細い動脈が詰まることによっておこります。
「ラクナ」という言葉は、ラテン語なのですが、「小さなくぼみ」を表しています。
細い血管におこるので、梗塞も1.5cm以下くらいの小さいもののことが多いようです。
ただ、血栓による壊死がある場合が多く、他の梗塞のように劇的な発作はおこりにくいですが、麻痺やしびれなどの症状が出ることが多いです。
脳ドックなどで、まったく症状がないにもかかわらず発見されることも多いようです。
【心原性脳塞栓症】
上記二つの梗塞が、動脈硬化などによっておこるのに対し、全体の30パーセント弱を占める心原性脳塞栓症は、「心房細動」のような特殊な心臓の動きによって、心臓に大き目の血栓ができ、その血栓が血流によって脳に運ばれ、脳の比較的太い動脈に詰まることによっておこります。
「心房細動」という不整脈の一種の症状が年配の人ほどおこる頻度が高いといわれていることから、若い人よりも年配の人におこることが多いようです。
脳梗塞の中でも一番重症になりやすく、死亡率も高めなことが多いようです。
これら三つの種類の脳梗塞で全体の9割を占めますが、残り1割くらいは血液凝固異常、血管の異常、脳動脈の痙攣などにおこるようなものもあります。
いかがでしたでしょうか。今回は脳梗塞をタイプ別にみていきましたが、次回は、脳出血をタイプ別でご紹介していきたいと思います。
脳出血も、その場所によって種類があります。次回に詳しくみていきましょう。
(Photo by Ashinari http://www.ashinari.com/ )