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「わがままな性格」と誤解されがち。「非定型うつ病」ってどんなもの?

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「わがままな性格」と誤解されがち。「非定型うつ病」ってどんなもの?

日本のうつ病患者は年々増え続け、厚生労働省の調査では潜在的なうつ患者は600万人を超えるまでになっているといいます。そして自殺者の7割が「うつ状態」であったといわれています。そんななか新たに出てきたうつ病の形として「非定型うつ病」があります。非定型うつ病は専門医の中でもその存在が十分に知られていないため、単にうつ病と診断されたりします。さらに躁うつ病やパーソナリティ障害と診断され、軽度の場合は単なる「わがままな性格」と誤解されることもあります。

しかし、正しく診断されなければ治療が遅れて、病気はこじれてしまいます。「非定型うつ病」に焦点を当ててみました。

 

「定型うつ病」と「非定型うつ病」の違い

基本的症状は定型うつ病の場合は、ずっと落ち込んだ気分のままになります。一方、非定型うつ病では、度を越して気分の浮き沈みが激しくなります。気分にかなりムラがあるということです。また定型うつ病は物事に興味や関心がなく、生きている喜びを感じられないという場合が多いのですが、非定型うつ病の場合は、自分にとって好ましいことやうれしいことがあると気分が晴れてスッキリします。

体重の変化では、定型うつ病の場合は、食欲がなくなり痩せてしまうことが多いのですが、非定型うつ病の場合は痩せることはまれで、むしろ食欲が増してドカ食いして、特に甘いものが欲しくなって太るという場合が多くなります。

睡眠をみると定型うつ病は朝早くに目が覚め、病気が進むにしたがって眠れないという状態になりますが、非定型うつ病の場合は逆に「寝過ぎ」になります。

 

非定型うつ病の特徴とは

非定型うつ病の人は「気分反応性」という特徴を持ちます。これはよいことがあれば気分が良くなったり、ささいなことで落ち込むので「気分屋」「甘えている」「自分勝手」と誤解されます。気分がどん底にあっても、好きなことをしたり、好きなものが手に入ったり、自分にとって好ましいことがあると、うつの状態が軽くなったり、全く消えてしまうことすらあります。定型うつ病の人が、まわりにどんなことがあってもいつも落ち込んでいるのとは対照的です。

逆に、少しでも嫌なことがあれば、気分が塞ぎ、落ち込み、まわりからすればささいなことでも本人は激しく反応するという特徴があります。そのため上のような誤解が生まれ、周囲からうとまれたりします。

 

非定型うつ病は「感情の病気」

非定型うつ病は、自分にとって都合のいいことや楽しいことは活発に行いますから、とてもうつ病には見えません。その一方で、少しでも嫌なことがあると体が重くなったり、眠くて仕方がないなどの症状が出ます。そのため、自分勝手なわがままな人間だと周囲から責められます。しかし、自己中心的だと非難するのはかえって逆効果です。非定型うつ病は「感情の病気」だといわれ、感情が非常に敏感になります。そのためプライドを傷つけられるような言葉には病的に反応してしまいます。

いたずらに非難したり責めたりせず、本人の気分が落ち着いたところで客観的なアドバイスをするようにしましょう。

 

写真出典:photoAC

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