長い生物史の中で、身体の構成物の中で必要とされないものは、淘汰され消えて行くのが進化の過程で語られていました。当然、人類も生物ですので、同じような過程を歩んで行くと考えられています。つまり、退化する機能があるということです。
高齢化はまさに機能低下の最たるもので、すべての機能レベルが下がってきます。病気の場合も同様です。特に、食に関しては消化器系の機能低下が著しく、咀嚼から始まって消化、吸収、排泄の機能の衰えが目立ちます。
そこで、提供される介護食のことですが、咀嚼の大本である歯の欠損と噛む力が弱くなることから、練り状のものや、やわらかくしたものが多くなっています。もちろん、栄養面を考慮していることは申すまでもありません。
そこで次に、農林水産省が、やわらかさを7段階に分けた、介護食品の規格を紹介します。
介護食品に愛称をつけました。それは、「スマイルケア食」。
昨年の11月に発表された介護食品である「スマイルケア食」は、当該者の食事に関して悩み(噛む力、飲み込む力)問題に対して、どのように「スマイルケア食」を選べばよいのかをガイダンスしたものです。
理由として
1.高齢化が進み、今や、4人に1人が65歳以上の高齢者になっていること。
2.高齢者の一部には、食事をしっかり摂らないために、エネルギー、たんぱく質の不足から、体重減少、食欲減退、だるさ、歩行ができなくなるなどの症状が起きていること。
3.「低栄養」状態になること。
を挙げています。
特に、低栄養状態になると、
①痩せてくる
②皮膚に炎症ができやすい
③感染症にかかりやすい
④食欲がなくなる
⑤歩行が困難になる
⑥疲れやすく、元気がなくなる
⑦口中が乾いてくる、⑧握力がなくなる
など、日常の生活に影響がでてきますので、注意が必要になります。
介護食品「スマイルケア食」の基本的な考え方。
低栄養状態からの脱却が、高齢者や病にかかっている人たちの、QOL(クオリティ オブ ライフ)を上げることになります。そこで、介護食品「スマイルケア食」では、次のような考え方をしています。
まずは、在宅の高齢者や障害者が対象者になっています。
その中身は、食機能として、
①噛むこと、飲み込むことに不自由を感じ、栄養状態がよくない人。
②食機能は不自由だが、当人、介護者の工夫から栄養状態は良好と思われる人。
③食機能に不自由さはないが、栄養状態がよくない人。
④さらに、上の3つに移る可能性のある人を挙げています。
内容的には、
①単品としての加工食品(レトルト食品など)。
②個々の食品が組み合わさった料理。
③一食分の料理の配食・宅配サービス。などがあります。
さらに、気を使うべき点としては、おいしさ、低栄養の改善、食べやすさ、食する楽しみ、美しさ、手に入りやすい、コストの問題、QOLの向上などが挙げられています。
このように、利用する人のことを考えて、おいしさ、食べやすさ、栄養に主眼を置いた介護食品の開発が望まれています。
介護食品(スマイルケア食)の具体的な選び方。
食事に悩みがあり、噛む力、飲み込む力がない人向けに、QOLをあげるために、食品開発の方向性を打ち出しています。
例えば、飲み込みはできるが、噛む力がない人向けには、3つの方向性を示しています。
①弱い力で噛める食品(例えば、焼き豆腐など)。
②歯ぐきでつぶせる食品(例えば、木綿豆腐)。
③舌でつぶせる食品(例えば、絹ごし豆腐など)
飲み込みができない人に対しては、4つの方向性を提案しています。
①舌でつぶせる食品(例えば、絹ごし豆腐など)。
②ペースト状の食品。
③ムース状の食品。
④ゼリー状の食品などがあります。
それから、飲み込む力はあるし、噛む力もある。にもかかわらず、食欲がなくなったり、体重が減ったりする場合には、要相談を含めて、7つの介護食品(スマイルケア食)の選び方を紹介しています。
これから先、多くの食品企業の参加が期待され、介護食品の世界が広がると見られています。
介護食は、人間の機能を使いきってこそ、価値があります。
高齢化社会を迎える中で、日本人の平均寿命、そして、健康寿命が延びていますが、これも偏に、医学、医療技術の進歩、栄養学やストレスコントロール、さらに言えば、介護制度の賜物がそうしているのではないでしょうか。
特に、生命の源である食事は、エネルギーと生きる喜びを生み出すだけに、非常に重要なポイントになっています。要介護者は代謝も低下し、若いときのような機能をフルに使いこなすことはできません。しかしながら、年齢に応じた代謝機能が、それに相応して働いてくれます。中でも、咀嚼、消化、吸収、排泄の仕組みは、エネルギー源のベースになるだけに、この機能を生かすことが大事になります。
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