副鼻腔炎というのは一般的に「蓄膿症」と呼ばれているものです。副鼻腔に膿がたまってしまう病気で、多くは急性副鼻腔炎が慢性化することで起こります。風邪をきっかけに急性の副鼻腔炎になり、その症状が3か月以上続くと蓄膿症になることが多くなります。
副鼻腔炎の症状とは
粘膜が腫れあがるため鼻が詰まり、口呼吸をするようになります。粘膜の下の分泌腺から出る分泌物の量が増え、黄色から黄緑色の粘着性の鼻汁がたくさん出ます。これがのどに回ったりして大変不愉快になります。
さらには頭痛や頭が重い、集中力がない、飽きっぽくなった、疲れやすいなどの症状が現れ勉強や仕事に支障をきたすことも少なくありません。
虫歯が原因で鼻が悪くなる?
虫歯だけでなく歯周病、歯槽膿漏、抜糸が原因で鼻が悪くなるというケースは意外に多いのです。歯と関係が深いのは副鼻腔の上顎洞と呼ばれる部分です。ここは腹部腔の中で最も大きな空洞で、ちょうどほほの下あたりの左右にあります。
上の歯の根っこがこの上顎洞の近くにあるので、虫歯や歯周病の炎症が簡単に上顎洞に移りやすいためです。
原因となる歯は、奥歯です。奥歯の虫歯を放置しておくと細菌が上顎洞に入り込んで、炎症を起こします。急性と慢性があり、急性の場合は歯の痛みとともに、突然悪臭の強い膿性の強い鼻汁や頬の部分が腫れあがったりします。
どのような治療が行われるのか
歯が原因で副鼻腔炎になった場合、たいていの人は耳鼻咽喉科で診察してもらい、歯が原因であると診断されます。治療としては、原因となる歯の治療が先決です。その次に上顎洞を洗浄して、なかの膿を洗い流してから抗生物質を飲みます。
だいたいのケースではこの治療で完治します。しかし、上顎洞と歯の周辺の骨にかなり強い炎症がある場合は、抜糸した後も虫歯の部分に穴が開いていて口の中と上顎洞がつながってしまうことがあります。その場合は、手術が必要になってきます。
鼻洗浄で鼻腔内を清潔にする
鼻洗浄は、専用の簡単な器具も市販されていますから、自宅でもできるようになりました。こうした器具をそろえなくても自分でできます。
洗浄液は、食塩を少し混ぜたぬるま湯を使います。これをコップに満たして、片側の鼻腔から吸い込みます。この時、反対側の鼻腔は指で閉じておけばやりやすくなります。吸い込んだぬるま湯が鼻腔の突当り、つまり鼻の奥に届いたところで、口から塩水を吐き出します。これを交互に3回~4回繰り返すことで鼻腔内の殺菌をすることができます。
写真出典 photo AC