加齢黄斑変性には「滲出(しんしゅつ)型」と「委縮型」の2種類があります。委縮型に関しては、有効な治療法がまだ確立されていないということと、進行が遅いことなどから経過観察が基本となっています。
滲出型に関しては「VEGF阻害剤」を使った抗VEGF療法の登場によって、治療方法が大きく進歩しました。治療法としてはこの「抗VEGF療法」「PDT(光線力学療法)」「レーザー治療」の3種類があります。
VEGF阻害剤を眼球に注射する抗VEGF療法
滲出型の加齢黄斑変性は、新しい血管が発生して黄斑部にトラブルを起こして発症します。その血管の成長を促すのがVEGF(血管内皮細胞増殖因子)という物質です。VEGF阻害剤には、血管内皮細胞増殖因子の働きを抑えて、新しい血管を退縮させる作用があります。
従来の治療法は、加齢黄斑変性の進行を抑えて視力の低下を防ぐのが目標でしたが、抗VEGF療法の場合は、視力を改善する効果が期待できます。
画期的な治療方法ですが問題もあります。それは繰り返しの治療が必要なことです。血管が完全になくなるわけではないので、治療を中止すると悪化する可能性が高まります。またVEGF阻害剤は高額なので、経済的負担も大きくなります。保険対応となりますが、それでも3割負担で1回5万円前後の費用がかかります。
光に反応する薬を点滴し、レーザーを当てるPDT療法
光に感受性のある「ベルテポルフィン」という薬を、腕の静脈から点滴します。この物質は新しい血管に集まりやすい性質があり、正常な血管にはほとんど取り込まれません。
新しい血管に集まったベルテポルフィンに対して出力の弱いレーザーを照射することで、血管の中に血栓ができて血管を閉塞させます。
この治療法の問題は、治療後に現れる「光過敏症」です。ベルテポルフィンを点滴して48時間以内に日光や強い光に当たると、体内に残っているベルテポルフィンが活性化して皮膚がヤケドのような状態になるなどの危険性があります。そのため2日間ほど入院するのが一般的ですが、退院後も5日間は帽子やサングラス、長そで長ズボンを着用して、日光はもちろん白熱電球などにも当たらないように注意します。
強いレーザーで血管を閉塞するレーザー治療
麻酔を点眼し、事前に確認しておいた血管を狙ってレーザーを照射します。入院の必要はありません。
強力なレーザーを当てるので周りの正常な組織も焼つぶしてしまいます。そのため、新しい血管が黄斑部の中心窟に達している場合は行われません。破壊された部分は光を感知できなくなりますが、視野の中心から外れているので、見たいものを見ることはできます。
写真出典:photoAC
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