「園芸療法」という言葉を耳にしたことはありますか。園芸療法は第二次世界大戦後、アメリカや北欧で始まりました。心を癒したり、失われた機能を回復したりするためのリハビリテーション(以下、略してリハビリ)のひとつです。土に触れ、植物を育てて自然に接することは心身にさまざまな効果があります。
今回は、園芸療法について紹介します。
園芸療法って何?
園芸療法とは、日本園芸療法学会によって「医療や福祉の領域で支援を必要とする人たち(療法的なかかわりを要する人々)の幸福を、園芸を通して支援する活動」と定義されています。
園芸療法は、専門のトレーニングを受けた園芸療法士によっておこなわれます。
どのような人に必要なの?
さまざまな人に当てはまりますが、病気や障がいなど何らかの課題を持ち、課題解決に援助を必要とする人を対象としています。
園芸療法が持つ効果とは!
①身体的な効果
土をならしたり、水やりをおこなったりといったさまざまな作業を通して、身体を全体的にバランスよく動かせる効果があります。
②心理的な効果
植物を育てる喜びや責任感、満足感を得ることができ、植物に触れることによって五感が刺激され、精神バランスを回復させる効果があります。
③社会的な効果
植物を育てる作業を通して、他者と会話などの交流を持つことによって社会性を高め、コミュニケーション能力や共感能力を向上させる効果があります。
園芸療法と園芸福祉、園芸活動の違い
園芸療法と似た言葉で「園芸福祉」があります。また、家庭等でおこなう「園芸活動」もあります。これらの違いは次の通りです。
■園芸療法
・対象者は?
病気や障がいなどにより援助を必要とする人
・目的は?
心身機能の維持・向上、生活の質向上
・専門職の関わり
園芸療法士など
■園芸福祉
・対象者は?
援助の必要に関わらず、あらゆる人
・目的は?
健康づくりや生きがいづくり、社会参加
・専門職の関わり
園芸の知識や技術を持ったリーダー
■園芸活動
・対象者は?
自分でおこなうことが出来る人
・目的は?
趣味・鑑賞や収穫
・専門職の関わり
なし
実践例をご紹介します!
①高齢者施設に入所または通所する人へのリハビリとして
植物を育てる作業はさまざまな段階があるので適度な運動を伴います。運動不足や筋力低下の予防、他者との交流による社会性の維持などに応用します。
②精神障がい者デイケアとして
保健所などでおこなう精神障がい者デイケアのプログラムとして、植物を育てる作業を通して利用者の精神バランスを回復させます。
③認知症予防として
自治体がおこなう認知症予防教室で、植物を育てる作業を通して他者との交流や心身の癒しなど、総合的な心と身体の健康づくりをおこない、認知症を予防します。
太陽の光を浴びて外の空気に触れながら植物を育てることは、とても気持ちが良いものです。リハビリだからと構えずに、自然を楽しみながら日々の暮らしを豊かに過ごしていきたいですね!
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