じっとしている時は何も起こらないのに、頭や首を動かしたときに急にめまいが起こるのが「良性発作性頭位めまい症」の特徴です。難聴や耳鳴りは伴いませんが、吐き気を伴う場合があります。
めまい自体は病気の程度によって、グルグルするものやフワフワするものなどがありますが、どちらにしてもそう長くは続きません。ほとんどが数十秒程度で治まってしまいます。しかし、同じような頭の位置を取った時に繰り返しめまいが起こります。
めまい全体の中で最も多い病気で、耳の病気が原因のめまいでも約6割を占めています。特に中高年の女性に発症しやすい病気です。
良性発作性頭位めまい症の原因
体の位置や動きは、内耳にある「耳石器(じせきき)」と3つの「半規管(はんきかん)」によって受け止められています。耳石器の中には、カルシウムでできた「耳石」と呼ばれる小さな石のようなものがあります。この石が体を動かすと前後左右に動き、その情報が脳へ伝わります。
良性発作性頭位めまい症は、老化や女性ホルモンなどの影響で、耳石が半規管の中に剥がれ落ち、神経を刺激することでめまいが起こると考えられています。
発作は靴ひもを結ぶなど屈んだときや寝返りを打ったとき、朝起き上がろうとしたときなどをきっかけに起こります。
良性発作性頭位めまい症の治療方法
良性発作性頭位めまい症は、たとえ症状が強く出ても、ほとんどが数か月で治ります。めまいが繰り返し起こっても、多くは回を重ねるごとに症状が軽くなっていきます、自然に治るケーズも多く、治療を必要としない場合も少なくありません。
耳石がはがれて半規管の中に迷い込んでも、特に治療せずに自然に治る人が3割ほどいます。これは半規管の中を満たしているリンパ液によって耳石が溶けて、神経を刺激しなくなるためと考えられています。
しかしあまり長く不快な思いをしたくないという場合は、理学療法に効果があります。これは、はがれ落ちた耳石を元に戻す方法で、1回の理学療法で、約8割もの人が治るというデータもあります。
理学療法は、目の動きから、どこの半規管に耳石がはがれ落ちているかを調べ、それを元に戻していきます。ベッドに横になって医師が姿勢や頭の位置をゆっくり変えていきます。
理学療法は5~10分ほどで済みます。しかし終わった直後にめまいが起こったり、気持ち悪くなったりすることがあります。これは、耳石が急に元の位置に移動することで、刺激を受けるためと考えられます。理学療法を受けた後は、無理に動かないで、しばらく休んでから帰るようにしましょう。また車の運転は避けたほうがいいでしょう。
写真出典:photoAC
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