車いすを利用していると、生活の様々な場面で車いすから別の場所に移ったり、別の場所から車いすに移ったりという動作がつきものですね。この動作を移乗といいます。介護者は移乗介助で前かがみの中腰姿勢など無理な姿勢をしいられることが多く、介護の職業病ともいわれる腰痛の原因になってしまいます。また、移乗は動作が不安定になりやすく転倒の危険もあります。
そこで、車いすの移乗を助けてくれる便利な用具を活用しましょう!
主なものは次の通りです。
- 介助ベルト
複数の持ち手がついていて、立位が難しい人に装着してもらうと介護者は持ち手をつかんで腰をしっかり支えることができます。介護者も装着して要介護者に持ち手をつかんでもらうと、立ち上がりなどをより安定して介助できます。入浴や歩行リハビリなど介護の様々な場面で活用できます。持ち手にクッションが入っていて手に負担が少ないタイプや洗濯できるタイプもあります。
- スライディングボード
座っている要介護者の体を傾けてお尻の下に差しこみ、お尻をすべらせるようにして移乗する道具です。座ったままでスムーズに移乗ができます。長方形やブーメラン状などの形があり、木やポリエチレンなどの素材でできています。表面は摩擦抵抗を抑えてすべりやすく、裏面はすべりどめ加工されています。ベッドの高さを変えられて、車いすのアームレストやレッグサポートが外せることが前提になります。
- スライディングシート
車いすの移乗のほかに、体位変換や褥瘡(床ずれ)予防にも便利なすべりやすい丈夫な布です。お尻の下に巻き込むと少しの力でスライドして移乗ができます。
- 移動用リフト
正しく活用すると要介護者は安全に移乗でき、移乗介助がとても楽にできます。床走行式、固定式、据置式に大別されます。
- 床走行式リフト
要介護者をリフトで吊り上げて移動します。走行は手動、吊り上げは電動で行います。フローリングでの使用に適しています。
- 固定式リフト
ベッド設置や浴室設置、玄関設置などのタイプがあります。アームの回転は手動、吊り上げは電動で行います。浴室や玄関などに設置するタイプは床の強度が十分か確かめて設置しましょう。
- 据置式リフト
ベッドの上などに櫓(やぐら)を組んで走行用のレールを固定し、本体部分がレールに沿って移動します。本体下部から伸びるベルトの下にハンガー(吊り具をかける部分)が取り付けられ、電動で要介護者を吊り上げます。床の面積を取らずに設置でき和室でも使用できます。
介助ベルトやスライディングボード、スライディングシートは「特殊寝台付属品」として介護保険適用でレンタルできます。
移動用リフトの本体部分も介護保険適用でレンタルでき、吊り具部分は特定福祉用具販売の介護保険適用で購入できます。
担当の医師やリハビリの専門家、福祉用具販売店などに相談して使う人に適した移乗用具を選びましょう。移乗と介護の腰痛に悩んでいる人はぜひ試してみてください!