ここ数年、終活や身じまいについて関心が高まっています。
いまや日本は、死に際や死後の始末などを、自分で準備する時代になりつつあるようです。
その一方で、終末期のありようを自分の意思ではどうすることもできず、医療者や家族に託されている高齢者がいます。
いわゆる寝たきり老人です。
何もわからないのに、寝たきりで、管から栄養を摂り、おしめをする日々を、何年間も送っています。
胃ろうとは
ものが食べられなくなった高齢者が急性期病院から老人ホームなどの高齢者施設に移る際には、胃ろうを造設していなければ受け入れてもらえないことがほとんどです。
胃ろうとは、腹壁を切開して胃内に管を通し、直接、食物や水分、医薬品を投与するための処置のことです。
そのため家族は、自宅で介護をするか、経管栄養のための処置をしてもらうか、という選択を迫られます
そして、自宅で介護できない場合は、家族が希望していなくても、胃ろう造設を選ばざるを得ない状況が多いです。
年齢にかかわらず、命を永らえさせることを目指してきた日本の医療は、結果として、かえって高齢者を苦しめています。
しかし医療現場では、たとえそのことに気づいても、事態を好転させようと行動する人は少ないのが現状です。
延命から痛みの緩和へ
国内では8割近くの人が病院で亡くなるが、ホスピスや緩和ケア病棟の登場により、終末期医療のあり方は大きく変わりました。
従来の延命こそが重要という考え方に代わり、人生の最期にある人の心や体の痛みを和らげることに重点が置かれた対応が取られています。
英国人医師が、末期患者との交流の中から、死にゆく人がどうしたら安らぎを覚えるかを考えたことが原点になったと言われています。
緩和ケアでは、痛みを脳に伝える神経の働きを抑制する効果を持つ医療用麻薬(モルヒネ)が使われます。
投与方法は注射だけでなく錠剤、粉末などさまざまあります。
痛みの程度に合わせて、使用量をコントロールしていきます。
また、生活の質を重視するため周囲に迷惑をかけなければ、アルコールやたばこも許可する施設があります。
季節のイベントのほか、楽器の演奏や映画、音楽鑑賞の時間もあり、家族も参加できるところも多いようです。
地方病院では、専門知識や技術をもつ医師や看護師が不足し、緩和ケア病棟を新設しても医療スタッフが集まらないという事態も生じているといいます。
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