卵巣は子宮の両側にあり、卵管も含めて子宮の付属器と呼ばれています。卵子の生産と排卵、女性ホルモンを分泌する臓器です。卵巣にできる腫瘍は、20種類ほどあります。卵巣がんはその約1割を占め年間約8000人が発症し、約4500人が死亡しているという恐ろしいがんです。発症で一番多いのが40歳過ぎです。
卵巣がんは、自覚症状がとにかく少なく確実な検診方法もないために早期発見されることが少ないため6割は進行がんで発見されてしまいます。卵巣はお腹の中に浮いたようにしてあるため、ある程度がんが大きくなっても周りの臓器に圧迫感がなくわかりにくいこともあります。
同じ卵巣がんでも、がんの性質によって早期で見つかりゆっくり成長するタイプと、急激に進行してしまうタイプです。まずは自分が卵巣がんの危険因子を持っているかどうかを知り、注意しましょう。
卵巣がんの症状
卵巣がんは初期症状ではほとんど目立った症状はありません。下腹部にしこりがあったり、お腹が張る、ガスがたまる、わき腹に違和感がある、腹痛、背中に痛み、腰痛、貧血、頻尿といった症状があらわれますが、そうなるとかなり進行している可能性があります。エコーで調べる方法もありますが、はっきりとした有効性は証明されていません。
「子宮筋腫」「良性卵巣腫瘍」など似た症状もあるので、しっかりと診察してもらいましょう。
卵巣がんの症状
卵巣がんの原因は明らかではありません。しかし、日本女性は特に子宮内膜症が多い傾向にあり、それが大きな原因だともいわれています。
日本人は、卵巣がんのうち、「明細包腺がん」と「粘液性腺がん」という抗がん剤が効かないタチの悪いがんが多く、子宮内膜症を患っている人が多いことと関係しているようです。
排卵とも関係があり、妊娠や出産回数が少ない人はリスクが高く、排卵のある不妊症の人もリスクが高くなるといわれています。
排卵を抑制する経口避妊薬であるピルを飲んでいるとリスクが低下します。日本ではピルの普及率が低いため卵巣がんの予防のためにはピル普及率向上も重要だといえます。
卵巣がんの発症には遺伝も大きくかかわっています。母親や姉妹が卵巣がんだとそのリスクが5~10倍にもなるため、BRCA1やBRCA2の変異を持つ場合は40歳を過ぎたら、予防的に卵巣を摘出するという女性も増えています。
卵巣がんになる危険性が高いのは次のような人です。
・閉経後のホルモン補充療法をしている人
・妊娠・出産経験がない人
・近親者に卵巣がんのいる人
・子宮内膜症がある人
写真出典:photoAC
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