親、配偶者、友人などあなたのまわりに認知症の人はいますか?厚生労働省は、2025年には認知症にかかる人が700万人を超えると推計しています。これは、65歳以上の高齢者のうち5人に1人が認知症になるという計算です。
今や認知症は、人ごとではなくなってきています。もし、自分やまわりの人が認知症にかかった時、少しでも症状を改善し進行を遅らせながら、できるだけ自分らしく暮らしたいものです。そのためのリハビリにはいろいろありますが、今回は家族だからこそ行いやすい「回想法」について紹介します。
■昔使っていたものをきっかけに、思い出す
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回想法とは、過去の出来事や感情を思い出すように意識的に働きかけ、気持ちの安定や記憶力の改善を図るリハビリ手法です。認知症患者は短期記憶が働かなくなる一方、長期記憶には問題がない場合が多く、その特徴を活かし子どもの頃や働いていた時のことを思い出して、語ってもらうのです。
記憶を思い出すために、めんこやお手玉などの昔遊んだようなおもちゃ、「テレビが家にやってきて家族みんなで囲んで見ている」「薪でお風呂を沸かしている」など、かつての日常のひとコマを収めた写真を準備します。回想法に使う写真を集めた本も販売されているので、そういうものを参考にするのもいいでしょう。また、当時流行した音楽なども効果的です。
これらの物をきっかけに過去を語ることで、表情が豊かになり、気持ちが安定し、認知症の周辺症状(BPSD)と呼ばれる徘徊、抑うつ、暴言、不眠などが出にくくなるという効果もあります。
■家族だからこそ、思い出に寄り添える部分も大きい
回想法は、ディサービスや老人ホームなどで介護職員などが行うことも多いですが、家族にも出来ることはたくさんあります。認知症患者本人の生い立ちや過去の楽しい思い出を知っている家族だからこそ、より具体的に働きかけられるでしょう。
話を聞く側のポイントは、患者の思いに共感すること。特に、楽しかった出来事を思い出してもらうことが大事です。本人が楽しい気持ちになってもらえるように働きかけましょう。本人にとって、一緒に思い出に寄り添ってくれる家族がいることは、大きな安心と自信につながるでしょう。認知症高齢者が歩んできた人生の歴史を聞くことは、家族にとっても学ぶことが多いので、楽しみながら回想法に取り組めるといいですね。