通常、口から取り入れられた食事は、食道を通って胃や腸に運ばれるように私たちの身体は出来ています。ところが、本来食道へ向かうべき食べ物が、誤って気管に入ってしまうことがあるのです。上手くのどを通過することが出来なかった食べ物がのどに詰まったような状態になり、むせることがありますが、それは「誤嚥」のサインかもしれません。
要介護者の食事のサポートをする際には、とくにこの誤嚥に気を付けなければなりません。
1.誤嚥を防ぐ食事介助
食事中、介助者が気を付けるべきこと
①まずは声掛けをしましょう。
食事を口に運ぶ前に、メニューの内容を伝えたり、介助をするときには「食べる」ということを意識出きるように声を掛けながら食事をすすめていきましょう。
②食べる姿勢を整えましょう
通常、横になっている要介護者でも座ることが可能であれば、食事中だけでも座った体制が一番安全に食事が出来ます。
③口やのどの動きを観察しましょう。
一口ごとに、確実に飲み込めているかどうか、のどに詰まるような様子がないかゆっくり確認しましょう。
焦らず、一口ずつ食事を運んでください。
④もし、飲み込みにくそうにしている場合や、むせている様子であれば無理に食事をすすめず、少し時間を置いて落ち着くのを待ちましょう。
⑤出来るだけ食べやすく、口の中ですり潰せるぐらいの柔らかさや、水分を含ませのどの通りがよくなるように工夫しましょう。
2.ゆっくり食事を楽しむ工夫
介助者は自分の食事を後回しにして、要介護者の食事介助だけに集中しがちです。
もちろん、食事中の要介護者の誤嚥など様子をしっかり見るために、食事介助を優先することも大事なのですが、介助者もお腹を空かせた状態だと、逆に気分が焦ったり急かしてしまうことになりかねません。
要介助者も一人で食べるよりも「一緒に食べる」ほうが気持ちも楽しくなります。介助だけに集中されると、介護される側としては逆に食べ辛いこともあります。
一緒に「美味しいね」「これは○○だね」などと食事の時間の楽しみを共有することで、お互いにゆとりが生まれます。
3.噛む力を助ける工夫
食材によっては、どうしても食べにくいものも出てきますが調理の工夫次第で、噛む力を助ける食事になります。
①肉・野菜・根菜類は小さく一口大の大きさに切りましょう。
②肉の脂身や、鶏皮などは出来るだけ取り除き、叩いたり切れ目を入れたり開くなどして、噛みやすくしましょう。
③野菜は時間をかけて、じっくり煮込んで歯茎でもつぶせるぐらいに柔らかくします。
④野菜の皮はトマトは湯むきしたり、茄子の皮には包丁で切れ目を入れて食べやすくしましょう。
⑤キャベツやホウレン草などの葉物は、茎の部分は噛みにくいので柔らかい「葉先」を使用します。
さらに飲み込む力を助ける工夫としては、片栗粉でとろみをつけたり、サラダはヨーグルトでなめらかにしたり、ゼラチンで固めたりするのもおすすめです。
毎日美味しく食べる喜びを!
毎日の食事を楽しく美味しく感じられることは「生きがい」につながります。
要介護者の状態をよく知り、食事の環境やメニューを工夫してみましょう。何よりも「一緒に楽しくゆったりと」という雰囲気がお食事を楽しくし、誤嚥を防ぐポイントです。
ちょっとひと工夫で食べる喜びを分かち合いましょう!
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