今後重要になる「生産性要件」
上記業務改善助成金で生産性向上が認められる場合は、助成金が加算されるのですが、生産性要件は平成28年10月から導入された新しい概念で、厚生労働省は今後も重視するとしています。
生産性が向上しているとみなされる要件、直近事業年度と3年前の事業年度の「生産性」を比較して、伸び率が6%を超えている場合を指します。
直近の生産性が1.1億円、3年前が1億円であれば伸び率は(1.1億―1億)/ 1億=10%>6%ですので生産性向上要件を満たします。生産性は下記の算式で求めます。
生産性 = 付加価値 ÷ 雇用保険被保険者数(加入者数)
付加価値 = 人件費 + 減価償却費 + 動産・不動産賃貸料 + 租税公課 + 営業利益
付加価値の計算の仕方に関しては、財務・会計の知識が必要なので、順を追って説明します。
生産性の理解に必要な財務・会計知識
付加価値の計算にあたって大きいのが人件費です。人件費には、給与賞与(通勤手当も含む)のほか、福利厚生費・教育訓練費・(社会保険料の会社負担分である)法定福利費です。福利厚生費とは、社内の親睦会費用・記念品代・慶弔見舞金・社内旅行費用などが該当します。
なお、退職金や出張旅費、外注費・派遣手数料は、生産性で考慮する人件費には含まれません。
建物・車両などの購入費は、原則購入時の費用にそのまま計上できず一旦資産として計上します。資産として計上したものは、その後2年以上の年数をかけて分割して費用計上します。
この費用が減価償却費であり、毎年度均等に計上する方法(定額法や均等償却)もそうでない方法(定率法)もあります。
不動産賃貸料は地代・家賃ですが、リース料などの動産賃貸料も付加価値計算では考慮します。租税公課とは、税金・印紙代・その他官公庁に払う手数料で「法人税・住民税及び事業税」に計上しなかったものが該当します。
営業利益は、売上高から仕入・製造原価・営業費用を引いて計算されます。製造原価や営業費用に上記のような費用が含まれますので、営業利益から一定の費用を足し戻したものが付加価値とも言えます。
最後に
助成金は新設・廃止のサイクルが早く、年度毎だけでなく年度内ですら新設・廃止が行われてきました。また労働関係助成金は今後大規模な再編も予定されています。
しかし政府が推進する「働き方改革」の上で職場の環境整備は今後も重要ですし、比較的新しい生産性要件は2017年においても重要になることは間違いないです。