助成金情報
雇用保険の助成金についての話題を扱う際に私はまず次のことを問いかけているようにしています。
『どうして、雇用保険から「助成金」というお金を貰うことができるのでしょうか。』
どうしてこのようなことを聞くのかというと、過去にある経験からなのです。
それは、以前私が顧客の社長と『助成金』についての話題で会話をしていたときのことです。
社長の知人の方がかなりの額の助成金を受給されたそうで、ご自身の会社でも可能であれば、この助成金の受給に向けて動きたい、ということでした。
次に、「今すぐ、何かしらの助成金を請求出来ないのか?」「現在の会社の状態、社員の対応で貰えるものは無いのか?」ということでした。
この社長の助成金についての理解は『書類を書けば助成金がもらえる』というものでした。
ブラック企業スレスレの、いわゆるワンマン経営でやってこられた方の勘違いを訂正するのにとても骨が折れました。
このように、助成金のことを、お金がもらえる制度とだけの理解は正直なところ、とても勿体無いと感じています。
また、このような理解だと下手をすると、「不正受給をしてでもお金を貰いたい。」と危険な考えになりやすいので、ご注意ください。
話がわき道に逸れましたが、私が「どうして、雇用保険から『助成金』というお金がもらえるのでしょうか?」と言う答えは 支給する側から 『助成金』の目的を考えると一目瞭然です。
なぜ政府は雇用保険において、雇用確保や雇用継続をすることに対して『助成金』というものを設定しているのでしょうか。
それは、現在の安倍政権で考えれば、 大原則の労働法規の遵守があり、さらに『一億総活躍』や『女性の社会進出』を労働政策として躍起になっているところです。
この目標の達成のため、積極的に企業に協力してほしいから助成金というニンジンをぶらさげるのです。
その目標達成のためには、労働環境を整備することをはじめとして、高齢者の雇用を守り、障害者の就労機会を掘り起こし、介護離職や出産・育児による女性の失業等を防ぎたいのです。
まさしく、雇用の確保であり、雇用の継続を求められているのです。
この協力要請に応えることで助成金を受給できるのです。
要請されている条件を良く知ったうえで要請される内容に沿っていかなければならないのです。
前述の社長のように偶然該当することを待っているのでは、余程の運が必要ですし、該当者を採用しても、助成金の対象者と気付かず、あるいは必要な事前手続きを知らず、申請できないということになってしまいます。
実際の業務として、『助成金』を請求するにあたって、請求に伴ってなにかしらの添付資料が必要となるものがほとんどです。少なからずお金を貰うのですから、やむを得ないところでしょう。
しかし、とりわけ 一定の状態の労働者の雇用を要件とする雇用確保や雇用継続に関わる助成金は必要となる要件や書類等も少なく、比較的環境整備が容易で『助成金』を受給しやすいものになっているため、これから助成金の受給をお考えの経営者、人事労務担当者様にはおすすめです。
求められる添付資料としても、基本的な就業規則やその付随する規定となるため、会社側としても過度な負担なく、また現状の就業規則の見直しの良い機会として取り組むことで、就業規則を最新の状態に保つことが出来ます。
その結果、既存の従業員にとっても働きやすい職場環境を維持できる体制が出来上がるのです。
この就業規則は会社の運営、従業員を雇用する上で非常に大切なものですが、まだ作成されていない会社も多く、作成していても放置されたまま一度も改定されたことがない状態にある会社も存在します。御社の対応状況はいかがでしょうか?
助成金の受給を目指すことをきっかけに就業規則を整備・改定していくことで、従業員雇用環境の改善と就業規則があることによる従業員に安心感を与えることが出来ます。
このように、助成金を受給するということは、金銭的な経営面への補助だけでなく、会社の構造強化と従業員に安心感を与える労働環境といったものを生み出すことが可能です。
最後に一社、助成金を雇用に活用した会社の例を簡単にご紹介します。
その会社は、保険調剤薬局を経営している会社で、薬剤師の確保が会社の重要な問題点でした。
この問題点の解決のための解決策が助成金を有効に活用したものでした。
それは、シングルマザーとなった薬剤師を積極的に雇用するというものでした。
一般的にシングルマザーの雇用となると、子供の急病等で安定した勤務が望みにくく、通常の会社としては避けてしまいがちですが、この会社ではそのマイナス面は、配置人数を考慮することで埋め合わせました。
また、シングルマザーの採用状況が厳しいことは、シングルマザーの方自身が実感しているので、定着率が高く、仕事ぶりの評価も高い方がほとんどという状況となりました。
これに加えて、会社では特定求職者雇用開発助成金を受給することで、金銭面での負担を少なく薬剤師の確保問題を解消がなされました。
この他にも雇用の促進あるいは維持を目的とした助成金だけでも様々なものがあります。
今回はいくつかの、従業員を新たに雇用することで受給できる助成金と、雇用を継続することで受給できる助成金について詳細を説明します。
従業員の新たな雇い入れについてお考えの方、あるいは育児休業取得予定者がいらっしゃるようでしたら、求職者の選考あるいは休業スケジュールの打ち合わせに当たって、次の助成金があることを考慮に入れてみるのはいかがでしょうか。
今回は支給要件や支給額につきましては、読みやすくなるよう、中小企業を対象とした要件や支給額に絞ってご紹介しています。また、詳細部分につきましてもご紹介しきれない部分もありますので、詳しくは厚生労働省資料にてご確認いただくか、専門家へご相談ください。
《従業員を新たに雇用することで受給できる助成金》
『特定求職者雇用開発助成金』(特定就職困難者雇用開発助成金)
【概要】
高年齢者や障害者など、特に就職が困難な者を継続雇用する労働者として雇用する事業主に対しての助成金で、就職が特に困難な方の雇用機会の増大が目的の助成金です。
【対象者】
・高年齢者(60歳以上65歳未満)
・障害者
・母子家庭の母
などの就職困難者をハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。(正社員の他パートでも受給可能です。)
【支給額】(中小企業分のみ)
(1)対象労働者の雇用にかかわる日から起算した助成対象期間を対象として助成がおこなわれます。
※賃金締切日が定められている場合は「雇い入れ日直後の賃金締切日の翌日」、締め切り日に雇い入れた場合は「雇い入れ日の翌日」、締切日の翌日に雇い入れた場合は「雇い入れの日」から起算となります。
(2)この助成金は助成対象期間を6か月単位で区分した「支給対象期間」ごとに、最大2~6回にわたって支給されます。
対象者の労働時間 | 対象者 | 1期 | 1期当たりの支給額 | 受給年数 | 支給総額 |
短時間労働者以外 | 高年齢者・母子家庭の母等 | 6か月
|
30万円 | 1年 | 60万円 |
重度障害者を除く身体・知的障害者 | 6か月
|
30万円 | 2年 | 120万円 | |
重度障害者等 | 6か月
|
40万円 | 240万円 | ||
短時間労働者 | 高年齢者・母子家庭の母等 | 6か月
|
20万円 | 1年 | 40万円 |
重度障害者を含む身体・知的障害者 | 6か月
|
20万円 | 2年 | 80万円 |
※支給対象の各期の支給額は、その期間に支払った賃金額を上限とされます。
【受給手続き】
支給対象期ごとに、支給対象期の末日の翌日から2か月以内に支給申請書と必要な添付資料を添えて、管轄の労働局又はハローワークへ支給申請をします。
『特定求職者雇用開発助成金』(高年齢者雇用開発特別奨励金)
【概要】
65歳以上の離職者を1年以上継続雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して支給される助成金で、高年齢者が経験を生かして、引き続き働けるように支援することを目的とした助成金です。
【対象者と対象となる措置】
雇入れ日において、満年齢が65歳以上の離職者で、ハローワーク等の紹介により、所定労働時間20時間以上の労働者として雇い入れること。
【支給額】(中小企業分のみ)
(1)この奨励金は対象労働者の雇い入れ日から起算して1年間の助成対象期間を対象として助成がおこなわれます。
※賃金締切日が定められている場合は「雇い入れ日直後の賃金締切日の翌日」、
締め切り日に雇い入れた場合は「雇い入れ日の翌日」、締切日の翌日に雇い入れた場合は「雇い入れの日」から起算となります。
(2)この奨励金は、この助成対象期間を6か月単位で区分した「支給対象期間」第1期~第2期ごとに、最大2回にわたって支給されます。
対象者 | 1期 | 1期当たりの支給額 | 受給年数 | 支給総額 |
短時間労働者以外 | 6か月 | 35万円 | 1年 | 70万円 |
短時間労働者 | 6か月 | 25万円 | 1年 | 50万円 |
※ 支給対象の各期の支給額は、その期間に支払った賃金額を上限とされます。
【受給手続き】
支給対象期ごとに、支給対象期の末日の翌日から2か月以内に支給申請書と必要な添付資料を添えて、管轄の労働局又はハローワークへ支給申請をします。
支給申請期間の末日が申請期限となりますので、この日を過ぎると原則として当該申請期間にかかわる対象期については支給を受けることができませんのでご注意ください。
『障害者初回雇用奨励金』(ファースト・ステップ奨励金)
【概要】
障害者雇用経験のない中小企業が障害者を初めて雇用し、法定雇用率を達成した場合に支給される助成金で、中小企業への障害者雇用の促進を図ることを目的とした助成金です。
【対象者と対象となる措置】
(1)対象労働者は次の①~②に該当する求職者です。
①次のいずれかの障害者
・身体障害者
・知的障害者
・精神障害者
②雇い入れ日現在において満65歳未満の者
(2) 初めて障害者を雇用する、これまでに障害者を雇用したことのない中小企業(障害者の雇用義務の生じる労働者数50~300人の中小企業)が、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により 障害者を雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること。(正社員の他パートでも受給可能です。(週労働時間20時間以上))
(3)1人目の雇用の日の翌日から3か月後の日までの間に雇入れた対象労働者の数が法定雇用障害者数以上となり、法定雇用率を達成すること。
(4)就労継続支援A型の事業を実施していること。
※「特定就職困難者雇用開発助成金」との併給も可能な助成金ですので、障害者雇用への後押しになるでしょう。
※法定雇用率達成に必要な対象労働者数
常用雇用者数 | 法定雇用障害者数 |
50人~100人未満 | 1人 |
100人~150人未満 | 2人 |
150人~200人未満 | 3人 |
200人~250人未満 | 4人 |
250人~300人未満 | 5人 |
300人 | 6人 |
【支給額】
120万円
【受給手続き】
雇入れ完了日の直後の賃金の締日翌日から6か月間が支給対象期となります。
この支給対象期後の翌日から起算して2か月以内に支給申請書に必要な書類を添付の上、管轄の労働局またはハローワークへ支給申請をしてください。
支給対象期の末日までに法定雇用率未達となった場合には奨励金は支給されません。
※個々労働者の雇い入れの際に、「特定就職困難者雇用開発助成金」の併給可能です。
『トライアル雇用奨励金』
【概要】
職業経験や技能、知識等の状況から安定的な就職が困難な求職者について、将来的に常用雇用することを目的として、一定期間試行雇用した場合に支給される助成金で、安定的な就職が困難な求職者の早期就職の実現と雇用機会の創出を図ることを目的とした助成金です。
【対象者と対象となる措置】
次の①~⑥のいずれかに該当する者
①紹介日において就労経験のない職業に就くことを希望する者
②紹介日において学校を卒業した日の翌日から当該卒業した日の属する年度の翌年度以降3年以内である者であって、卒業後安定した職業に就いていない者
③紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
④紹介日前において離職している期間が1年を超える者
⑤妊娠、出産又は育児を理由として離職した者で、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えている者
⑥紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する者
上記の者を、ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れ、原則3ヶ月のトライアル雇用をすることが必要です。また、1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度であることが求められます。
【支給額】
(1)支給対象者の雇い入れの日から1か月単位で最長3か月間助成されます。
(2)支給対象期間中の各月の合計額がまとめて1回で支給されます。
対象者 | 月額 |
原則1人につき | 4万円 |
母子家庭の母等 | 5万円 |
若者雇用促進法認定事業主における35歳未満の者※ | 5万円 |
※若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の対象者を雇用したときの支給額の適用を受ける場合は、トライアル雇用を開始した日より前に認定を受けている事業主であって、トライアル雇用を開始した日において35歳未満の対象者を雇い入れた者であること。
【受給手続き】
1.計画書の提出
トライアル雇用を開始した日から2週間以内に支給対象者の同意の署名をしたトライアル雇用実施計画書、雇用契約書等労働条件が確認できる書類、職業紹介証明書を管轄労働局またはハローワークへ提出します。
2.支給申請
トライアル雇用期間を終了した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請書に必要な書類を添付し、管轄の労働局又はハローワークへ提出します。
※トライアル雇用終了後も継続雇用する場合、「特定就職困難者雇用開発助成金」の一部を受給可能です。
『三年以内既卒者等採用定着奨励金』
【概要】
学校等の既卒者や中退者の応募が可能な新卒求人の申し込み又は募集をおこない、一定期間定着させた事業主に対して支給される助成金で、学校等の既卒者や中退者への応募機会の拡大と採用・定着を目的とした助成金です。
【対象者と対象となる措置】
学校等を卒業又は中退した者で、これまで通常の労働者として同一の事業主に引き続き12か月以上雇用されたことがない者。
この奨励金の支給要件は、コースごとに以下の通りです。
【既卒者等コース】
既卒者・中退者が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集を行い、当該求人・募集に応募した既卒者・中退者を通常の労働者として雇用すること(少なくとも卒業または中退後3年以内の者が応募可であることが必要です)
【高校中退者コース】高校中退者が応募可能な高卒求人の申込みまたは募集を行い、当該求人・募集に応募した高校中退者を通常の労働者として雇用すること(少なくとも中退後3年以内の者が応募可であることが必要です)
※両コースとも、当該求人の申込みまたは募集前3年度間において、各コースの該当者が応募可能な求人の申込みまたは募集を行っていないこと。
【支給額】(中小企業分のみ)
対象者を雇入れて一定の要件を満たした場合に、企業区分、対象者及び対象労働者の雇い入れ日から起算した定着期間に応じて下表の支給額を支給します。
この定着期間を1年単位で区分した支給対象期間ごとに最大3回にわたって支給されます。
コース | 雇い入れ人数 | 定着年数 | 支給金額 |
既卒者等コース
|
1人目 | 1年定着後 | 50万円※ |
2年定着後 | 10万円 | ||
3年定着後 | 10万円 | ||
2人目 | 1年定着後 | 15万円※ | |
2年定着後 | 10万円 | ||
3年定着後 | 10万円 | ||
高校中退者コース
|
1人目 | 1年定着後 | 60万円※ |
2年定着後 | 10万円 | ||
3年定着後 | 10万円 | ||
2人目 | 1年定着後 | 25万円※ | |
2年定着後 | 10万円 | ||
3年定着後 | 10万円 |
※ 若者雇用促進法に基づく認定企業(ユースエール認定企業)の場合は、10万円が加算されます。
【受給手続き】
支給対象期ごとに、それぞれの支給対象期の末日の翌日から起算して2か月以内に支給申請書に必要な書類を添えて事業所を管轄する都道府県労働局またはハローワークへ申請します。
その他に、下記のような助成金もあります。
『雇用調整助成金』
休業や教育訓練、出向を通じて労働者の雇用を維持する事業主に対して支給される助成金です。
『特定求職者雇用開発助成金』(被災者雇用開発助成金)
震災により離職した求職者を雇い入れる 事業主に対して支給される助成金です。
『地域雇用開発助成金』(地域雇用開発奨励金)
雇用情勢が特に厳しい地域で、事業所を設置整備して労働者を雇い入れる 事業主に対して支給される助成金です。
『地域雇用開発助成金』(沖縄若年者雇用促進奨励金)
沖縄県内で事業所を設置して35歳未満の若年者を雇い入れる 事業主に対して支給される助成金です。
《育児や介護などでの離職を防ぎ、雇用を継続することで受給できる助成金》
『出生時両立支援助成金』
【概要】
男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土を作り、男性労働者に子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取らせた事業主に対して支給される助成金で、男性の育児休業取得促進を目的とした助成金です。
【対象となる措置】(中小企業分のみ)
1.男性労働者が育児休業を取得しやすい職場の風土作りの取り組み
平成28年4月1日以降①~③いずれかを最初の対象労働者の育児休業開始日の前日までに行う。
①男性労働者を対象とした育児休業制度の利用を促進するための資料等の周知
②管理職による、子が出生した男性労働者への育児休業取得の勧奨
③男性労働者の育児休業所得についての管理職向けの研修の実施
2.男性労働者の育児休業取得
雇用する男性労働者に、次の①~③すべてを満たす育児休業を取得させる。
①連続した5日以上の育児休業であること
②子の出生後8週間以内に開始すること
③平成28年4月2日以後に開始していること
【事業主が事前に準備しておくもの】
(1)休業制度の規定
「育児休業制度」と「育児短時間勤務制度」について労働協約または就業規則に規定していること
(2)「次世代育成支援対策推進法」が規定する一般事業主行動計画を策定し、その旨管轄労働局に届け出ていること。同時に、当該一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知する措置を講じていること。
【支給額】 (中小企業分のみ)
※ただし、この助成金の支給は1年度において、1事業主当たり1人まで1年度において対象となる育児休業は当該年度に開始した育児休業です。
①最初の支給年度 60万円
②①の翌年度以降の支給対象者 15万円
【受給手続き】
支給対象者の育児休業開始日から起算して5日を経過する日の翌日から起算して2か月以内に「両立支援等助成金(出生児両立支援助成金)支給申請書」に必要な資料を添えて管轄の労働局雇用環境均等室へ支給申請してください。
『両立支援等助成金』(中小企業両立支援助成金(代替要員確保コース))
【概要】
育児休業取得者の代替要員を確保するとともに、育児休業取得者を原職に復帰させた事業主に対して支給される助成金で、安心して育児休業を取得でき、職場への復帰をしやすい環境作りを目的とした助成金です。
【対象となる措置】
(1)育児休業取得者を原職に復帰させることの規定
育児休業終了後、原職または原職相当職に(以下「原職等」)に復帰させる旨の取り扱いを労働協約または就業規則に規定していること。
(2)育児休業取得
次の①~③すべてを満たす育児休業を取得させること
①連続して1か月以上休業した期間が合計して3か月以上の育児休業であること。
②育児休業の取得期間が育児休業の制度における育児休業の期間の範囲内であること。
③対象労働者が、育児休業(産前産後の休業後引き続き育児休業をする場合には産後休業)を開始する日において雇用保険被保険者として雇用されている者であること。
(3)代替え要員の確保
次の①~⑥のすべてを満たす育児休業取得者の代替え要員を確保すること
①育児休業取得者の職務を代替する者であること
②育児休業取得者と同一の事業所・部署で勤務していること
③育児休業取得者と所定労働時間がほぼ同等であること
④新たな雇用または新たな派遣により確保する者であること
⑤代替要員確保の時期が育児休業取得者(またはその配偶者)の妊娠の事実について知った日以降であること
⑥育児休業取得者の育児休業期間において、連続して1か月以上勤務した期間が合計して3か月以上あること
※育児休業取得者の職務が役職者または専門的勤務等のため、同一企業内で育児休業取得者の職務を他の労働者が担当し、その労働者の職務に代替要員を確保する、いわゆる玉突きも支給対象です。
(4)現職復帰後の継続雇用
原職復帰後引き続き雇用保険被保険者として6か月以上勤務すること
【対象事業主と対象となる措置】
・中小事業主であること
・休業制度等の規定
「育児・介護休業法」の「育児休業制度」及び「育児短時間勤務制度」について労働協約または就業規則に規定していること
・「次世代育成支援対策推進法」に規定する一般事業主行動計画を策定し、その旨を労働局長に届け出ていること。また、当該一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じること。
【支給額】
支給対象者1人当たり50万円
なお、支給対象者が有期契約労働者(期間労働者)の場合、10万円が加算されます。
また、育児休業を取得した有期契約労働者が期間の定めのない労働者として復職した場合、さらに10万円が加算されます。
1事業主当たり最初の受給から5年間、かつ1年度間に延べ10人を上限とします。
ただし、次世代育成支援対策推進法第13条に基づく認定を受けた事業主については、この助成金(コース)の支給は平成37年3月31日までに支給要件を満たした支給対象者を対象とし、1年度間の延べ人数にかかわらず、1事業主当たり延べ50人を上限とします。
【受給手続き】
育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内に「中小企業両立支援助成金(代替要員確保コース)支給申請書」に必要な資料を添えて、管轄の労働局雇用環境均等部(室)へ支給申請してください。
その他にも、下記のような助成金などもあります。
『両立支援助成金』(事業所内保育施設設置・運営等支援助成金)
自社の労働者の雇用の継続を図るため、事業所内保育所を設置する事業主または事業主団体に支給される助成金です。
『介護支援取組助成金』
仕事と介護の両立支援に関する取組をおこなった事業主に対して支給する助成金です。
『両立支援等助成金』(中小企業両立支援助成金(育休復帰支援プランコース))
「育休復帰支援プラン」を策定・導入し、労働者に育児休業を取得させ、原職等に復帰させた事業主に支給される助成金です。
『女性活躍加速化助成金』
女性の活躍に関する数値目標を揚げ、女性が活躍しやすい職場環境を整備に取り組む事業主や、その取り組み結果が目標を達成した事業主に対して支給される助成金です。
雇用に関わる助成金は、他の助成金と比べ、比較的受給しやすい助成金が多く存在します。専門家に相談することで御社の現状に最も適した助成金と受給のために必要な対策をすることで、積極的な助成金活用はいかがでしょうか。