厚生労働省系の環境整備助成金とは
環境整備助成金という名前の助成金があるわけではないのですが、職場環境を整備することでもらえる助成金があります。雇用保険の目的は失業者の生活保障だけでなく、雇用状態の是正もあります。
雇用状態の是正の役割を果たすものとしては厚生労働省の雇用関係助成金、また雇用関係助成金の枠外にある厚生労働省系助成金もあります。2つまとめて労働関係助成金とも言います。
種類は非常に多いのですが、2017年以降にわたっても使える助成金を選んでみました。
職場定着支援助成金(個別助成コース:雇用管理制度助成)
職場定着支援助成金は、離職率の低下に取り組む企業への助成を目的としています。中小企業連携組織が使える中小企業団体助成コースもありますが、広く各企業が使えるものは、個別助成コースとなります。
また個別助成コースには、介護施設運営事業者に絞った助成とそれ以外の助成に分かれ、後者は雇用管理制度助成となります。この雇用管理制度助成を解説します。
ここで言う雇用管理制度とは、下記のようなものになります。
・導入後の賃金総額が上昇するような評価制度・昇進基準・賃金制度
・導入後の賃金総額が上昇するような、家族手当・役職手当などの諸手当制度
※基本給を減額したら対象外
・全額を企業が負担する、1人あたり10時間以上の教育訓練の制度
・半額以上企業負担する健康診断の制度(法定健康診断項目ではないもの)
・直属上司とは別の先輩がメンターとなり相談・サポートする制度
※受講料を全額企業負担とする、メンター対象研修により導入
これらの制度を導入することで、1制度あたり10万円をもらえます。
手続き的には、一旦雇用管理制度整備計画を作成し、実施開始の1ヵ月前までに管轄の都道府県労働局に提出して認定を受ける必要があります。労働協約や就業規則、商業登記簿謄本、(離職率算定の参考となる)離職証明書を添付する必要があります。
その後制度導入を行い、計画した期間の終了後2か月以内に支給申請を行います。労働協約や就業規則、賃金台帳・出勤簿・雇用契約書、その他制度実施が確認できる資料を添付します。
さらに期間終了後12ヵ月間において、助成金支給要件で決められた離職率低下目標を達成した場合には、その12カ月間が終了した後の2ヵ月以内の支給申請で、60万円をもらうことができます。離職証明書等が添付書類として必要になります。
離職率低下目標は、雇用保険の加入者数毎に5段階で決められており、人数が少ないほど離職率を大きく低下させる必要があります。
・平成28年8月1日~平成29年7月31日に雇用管理制度を導入すると計画した場合、
平成28年2月1日~7月1日の間に計画書提出
※ここでは平成28年5月16日に提出したとします。
・計画期間終了後の平成29年8月1日~9月30日の間に、制度導入10万円分の支給申請
・計画期間終了後の平成29年8月1日~平成30年7月31日の12ヵ月間と
計画書申請(平成28年5月16日)前の平成27年5月1日~平成28年4月30日の
歴月12ヵ月間を比較し、離職率低下目標を達成しているか確認
・達成していれば、平成30年8月1日~9月30日の間に目標達成60万円分の支給申請
次のページでは、キャリアアップ助成金(処遇改善コース:短時間労働者の労働時間延長)について説明します。