助成金

2017職場で使える職場の環境整備助成金

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キャリアアップ助成金(処遇改善コース:短時間労働者の労働時間延長)

キャリアアップ助成金は、非正規労働者のキャリアアップを促進した企業に対する助成金です。大きく分けて下記3種類あります。

 

  • 正社員化コース(非正規労働者の正社員化をした企業に対する助成)
  • 人材育成コース(非正規労働者の職業訓練に対する助成)
  • 処遇改善コース(非正規労働者の昇給・健康診断導入・労働時間延長に対する助成)

 

このうち主に処遇改善コースが職場環境の改善に役立ちますが、処遇改善コース(短時間労働者の労働時間延長)に絞って解説します。

 

平成28年9月までは、所定労働時間週25時間未満・勤続6カ月以上の有期契約労働者に対して、週30時間以上に伸ばし6カ月以上雇用させたうえで、新規に社会保険の資格取得をすることで、1人当たり15万円(中小企業20万円)もらえました。

 

この有期契約労働者は、事業主・代表者の親族であった場合はもらえません。

 

平成28年9月までは概ね週30時間以上が社会保険加入要件でしたが、平成28年10月より始まった短時間労働者の社会保険適用拡大により、従業員数501人以上の事業所において週20時間以上の(一定要件を満たした労働者も)社会保険に加入することになりました。

 

この改正に対応して、こちらのコースも要件変更が行われました。従業員数501人以上の事業所は、10月1日までの雇用契約に関しては、9月までの要件で引き続き15万円(中小企業20万円)をもらうことが可能です。

 

・従業員数501人以上の事業所は、週20時間未満の労働者

・従業員数500人以下の事業所は、週30時間未満の労働者

 

の労働時間を原則5時間以上延長して、社会保険の資格取得をした場合に、15万円(中小企業20万円)もらうことができるようになりました。

 

この助成金を受けるには、まず本支店などの事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いたうえで、3年~5年間にわたるキャリアアップ計画を作成し、管轄の都道府県労働局に提出して認定を受ける必要があります。

 

その後、対象労働者に関して労働時間を延長し6ヵ月間経過した後、6ヵ月目の給与を支払った日の翌日から2か月以内に、支給申請を行ってください。賃金台帳・出勤簿・タイムカードといった法定帳簿のほか、労働時間を明示した雇用契約書もきちんと作っておく必要もあります。

 

職場意識改善助成金

ここからは雇用関係助成金の枠外にある、中小企業向けに特化した労働関係助成金になります。

 

職場意識改善助成金は、主に労働時間の削減に取り組んだ中小企業向けの助成金です。4つのコースがあります。

 

  • 職場環境改善コース

年休平均年間平均取得日数13日以下、月間平均所定外労働時間10時間以上の企業が、下記の成果目標を実施した場合にもらえます(未実施の場合は減額)。

 

a.年休の年間平均取得日数を4日以上増加

b.月間平均所定外労働時間を5時間以上削減

 

  • 時間外労働上限設定コース

特別条項つき36協定(1年の半分を超えない程度で時間外労働月45時間超を設定できる)を締結している企業が、月45時間以下の上限に設定した場合にもらえます。

 

  • テレワークコース

テレワークの新規導入を計画している企業が、1~6カ月間で設定した評価期間に、対象労働者全員に1回以上、平均をとった場合には週1日以上は終日在宅(またはサテライトオフィス)勤務でテレワークさせた場合にもらえます(未達成の場合は減額)。

 

  • 所定労働時間短縮コース

法定労働時間が週44時間の限定された業種向けですが、週所定労働時間を2時間以上短縮して40時間以下とした場合にもらえます。

 

上記のような労働時間削減やテレワーク導入のために、下記の取り組みを行うことが支給要件になります。パソコンやスマホなどの機器導入は要件に当てはまらないので要注意です。

 

・人事労務担当者及び労働者に対する研修

・社会保険労務士等によるコンサルティング

・就業規則や労使協定の作成

・労務管理用のIT(ソフトや機器)導入(テレワークコース以外)

・小売店におけるPOS導入など、労働能率向上のための設備投資

・テレワーク用の通信機器導入・運用

・テレワークに関する通信料・サービス使用料・保守料 (テレワークコース)

 

支給額は、コースごとに下記のようになっています。

 

  • 時間外労働上限設定コース・所定労働時間短縮コース

経費の3/4で、50万円が上限

 

  • 職場環境改善コース

上記a・bの両方を達成した場合は、経費の3/4で、100万円が上限です。

 

それ以外では、どちらか達成した場合は、経費の5/8で83万円が上限になります。どちらも達成できなければ、経費の1/2で上限67万円です。

 

ただし、労働能率向上のための設備投資を行った場合は、両方達成でないと支給対象外となります。

 

  • テレワークコース

テレワーク実施日数の目標達成をした場合は経費の3/4で上限150万円、未達成の場合は1/2で上限100万円です。このコースは対象労働者1人あたりの上限もあり、前者は15万円、後者は10万円となります。

 

 

手続きですが、申請書に事業実施計画書・労働保険関係成立届写し・商業登記簿謄本・費用の見積書・労働者の同意書・雇用契約書等を添えて、承認を受けます。

 

承認を受けたら取り組みを実施したのちに、費用の領収書や制度導入を証明するものを添付して実績報告および支給申請を行います。

 

なお平成28年度の場合は、支給申請の締め切りは平成29年2月末日ですが、承認の締め切りが10月~12月で設定されているため終了しています。来年度これらの助成金があれば利用できることになります。

 

なお平成29年には、終業時間と翌日の始業時間の間に一定時間(11時間が望ましいとされています)以上空けることを要件とする「勤務間インターバル導入コース」の新設が予定されており、費用の3/4、上限50万円が助成される見込みです。

業務改善助成金

中小企業が、生産性向上に役立つ設備投資を行った上、事業場内最低賃金(事業場内でもっとも低い労働者の賃金)を引き上げた際に受けられる助成金です。設備投資に対する費用助成金に該当します。

 

設備投資の例は

・POSを導入して、在庫管理を効率化

・ECサイト作成による業務効率化

・業務システム導入による効率化

・教育訓練費

・経営コンサルティング費用

 

といったものになります。

 

従来は、事業場内最低賃金(=Aとします)が800円未満の事業場において60円以上引き上げた場合に、設備投資費用の1/2(従業員数が企業全体で30人以下の「小規模な企業」であれば3/4)が100万円を上限に助成されていました。

 

この要件が拡充され、判断基準が上記の1つから5つに増えて複雑化しました。また、後述する生産性要件を満たした場合には、費用助成率がアップします。

 

1.Aが1,000円未満の事業場で60円以上引き上げた場合、費用の1/2(小規模な企業は3/4)を100万円上限に助成

 

2.Aが750円未満の事業場で30円以上引き上げた場合、費用の7/10(小規模な企業は3/4)を50万円上限に助成

 

3.Aが800円未満の事業場で40円以上引き上げた場合、費用の7/10(小規模な企業は3/4)を70万円上限に助成

 

4.Aが800円以上1,000円未満の事業場で90円以上引き上げた場合、費用の7/10(小規模な企業は3/4)を150万円上限に助成

 

5.Aが800円以上1,000円未満の事業場で120円以上引き上げた場合、費用の7/10(小規模な企業は3/4)を200万円上限に助成

 

 

2~5に関しては、生産性要件を満たすと、助成率が7/10→3/4(小規模な企業は3/4→4/5)にアップします。

 

東京や神奈川など平成28年の段階で最低賃金900円以上のところは2.や3.は使えません。このように都道府県によっては使えないパターンがあることには注意が必要です。

 

手続きとしては、設備投資計画と賃金引き上げ計画の2計画を記載した申請書を、都道府県労働局に提出します。この計画は、例えばPOSを導入したために3時間かかっていたものが2時間に短縮され、事業場内最低賃金が810円から850円に上がった等の関連づけが必要です。

 

商業登記簿謄本・納税証明書・労働保険料申告書・賃金台帳・費用の見積書・労働者名簿・労働条件通知書・離職証明書等が添付書類となります。

 

申請書が審査されますので、適正と判断されれば2計画を実行します。実績報告書を提出しここで適正とされれば、支給申請を行い助成金がもらえます。賃金台帳・就業規則・購入物品の領収書や写真・労働者名簿・労働条件通知書・離職証明書等が添付書類となります。

次のページでは、今後重要になる「生産性要件」について説明いたします。

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