厚生労働省が平成27年12月から企業に対して「ストレスチェック制度」を義務付けます。メンタルヘルス不調の危険度が高い人を早く見つけ、専門医に面接指導を行うことで、うつ病など重症になる前に防ごうとする取り組みです。
私たちの環境が、これによってどう変わるのでしょうか?
どんな制度なの?
まず「ストレスチェック制度」とは、企業など、人を雇う立場の事業者へ向けて「ストレスチェック」と「面接指導」を義務づける制度です。労働者の心理的な負担を検査することによって把握し、事前にメンタルヘルスの不調を知り、早期に専門医に相談するなどできるようにするものです。
これによって、日頃言えないメンタルの不調を訴える、または企業側が気づける機会ができ、病気になる前に、面接や指導を受けられるようになります。
これは、日本の気分障害患者数が1996年には43.3万人だったものが2008年には104.1万人と、急激に増えたことも関連しています。自分からセラピストにかかるのは、日本ではまだまだ敷居が高く勇気がいるものなので、この制度がきちんと機能すれば、メンタルヘルスに大いに役立ちそうです。
制度が導入されたら、どう変わるの?
従業員数が50人以上の企業に勤務しているならば、年に1度「ストレスチェック」を受けます。50名以下の企業の場合は当分の間努力義務となるようです。
年に1度、健康診断を受けていると思いますが、それのメンタルバージョンといった感じですね。
具体的にはどんな検査なの?
ストレスチェックの調査票は、事業者が選択可能。もちろん国から推奨する調査票もあり、いずれも「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」といった項目を含む調査票になるようです。
ちなみに、国が推奨する調査票の一部はこちら。
57項目あって、それに答える方式になっています。
もし、検査でひっかかったら、どうなる?
そこが心配で、専門医にかかれなかったり、気にしたりする人が多いかと思います。
しかし、概要では
“ストレスチェックの結果は実施者から直接本人に通知し、本人の同意がない限りは事業者に提供してはいけません”(引用http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/kouhousanpo/summary/)となっており、自分から申し出ない限り、会社側に知られることはありません。
ですが、「面接指導が必要」と評価されてしまったら、事業者に申し出ることによって医師による面接指導を行うことは「事業者の義務」となります。
もちろん、この結果を理由として、その人に不利益な扱いをすることは法律で禁止されており、解雇や退職勧奨、不当な配転、職位変更なども防止する措置がとられます。
まとめ
この制度によって、例えば職場のある部署のストレス状況が高いとなれば、職場環境を改善することが事業者の努力義務となるので、より働きやすい環境に改善されていく期待が持てます。
自分では気づけなかったメンタルヘルスも、会社で年に1回受ける「ストレスチェック」によって、知る・気づくことができ、また心の病気に対する世間の理解も深まるかもしれませんね!
写真出典(1枚目、3枚目) http://www.photo-ac.com/
2枚目 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/kouhousanpo/summary/