保健、福祉、医療の各現場で、リハビリテーションという言葉をよく耳にするようになりました。
特に日本は世界に類を見ない高齢化社会となって、ねたきりや痴呆老人がどの分野でも重大な問題となっている現在では、障害をもつこれらの老人に対してリハビリテーションが欠くことの出来ない活動として受け入れられています。
現状での介護分野でのリハビリ
介護の分野で行われている機能訓練は、リハビリテーション医学の手法そのものであります。
老人医療ではリハビリテーション訓練なしでは成り立たないとの認識に達しています。
病院でのリハビリは急性期~回復期であることが多いため、担当患者さんが治っていくのが実感できると思います。
しかし、リハビリはすればするほど良くなる物ではありません。
どなたにもプラトーに達する時期、いわゆるリハゴールというものが存在します。
勿論、ゴールは人により様々で一概には言えません。
施設へ退院であれば、ゴールは低くなります。
自宅退院となればゴールは高くなります。
そして病院を退院した高齢者・障害をもった方の次のステージが維持期になります。
介護の分野は主に維持期に該当すると思います。
目の前の不自由な高齢者に対して、いくらかでもその状況を改善するために、何かよい訓練のしかたはないかと求められます。
病院でのリハビリテーションを取り入れようとしますが、なかなか能力アップには繋がりません。
リハビリテーションを正しく理解してもらう
リハビリはそれぞれの立場や役割に応じた能力の再獲得が大切になってきます。
本人の能力が回復されれば、いつの場合にももとの生活に復帰できるかというと、必ずしもそうではありません。
発病前とほとんど同じくらいに仕事が出来るようになったのに解雇される障害者がいたり、あるいは家族から引き取りを拒否される人もあります。
つまり、本人の能力と周囲の受け入れの2つの要素が関係し、この両者がうまくかみ合わないと、もとの生活の回復はできないことになります。
家庭その他の受け入れは、家族や(職場の人たちなどの)障害者に対する理解や、社会全体の障害者に対する価値観などが複雑にからみあっている問題です。
リハビリといえば機能訓練と誤解されており、例えば介護とリハビリといえば介護の中にいかにして機能訓練を取り入れるかの論議に陥りがちです。
これは根本的な誤りであることを指摘しなければなりません。
いくらリハビリを頑張っても、家族等の受け入れがなければ介護分野でのリハビリテーションは成り立っていきません。
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