厚生労働省の調査結果によると国民の3人に1人がアレルギー症状を持っているとされています。その中でもアレルギー性鼻炎がダントツで、そのあとはぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーが続きます。
アレルギー性鼻炎の原因は
アレルギー性鼻炎の増加の原因のひとつは、アレルゲンの増加です。家の洋風化に伴い、気密性が高くなり、部屋には畳に替わってカーペットになりました。このことによりダニやほこりカビなどのハウスダストが室内に充満するようになってしまったからです。
最近ではスギ花粉による花粉症が深刻になり、毎日の天気予報のなかでも必ず花粉予想が組み込まれるほどです。
そのほかにも、大気汚染や人工ミルクの増加、ストレスなどが複雑に影響しています。
アレルギー性鼻炎の主な症状とは
アレルギー性鼻炎の主な症状は発作性、あるいは反復性のくしゃみ、水性の鼻水、鼻づまりです。鼻から、アレルギーの原因物質を吸い込むとヒスタミンが鼻粘膜の知覚神経末端にあるヒスタミン受容体に付くことで刺激されます。するとその刺激が脳のくしゃみ中枢に届いて、くしゃみが出ます。と同時に同じ刺激が脳の分泌中枢に届いて鼻汁が出て、さらに鼻の血管が広がり、鼻粘膜が厚みを増すことで鼻づまりとなります。
アレルギー性鼻炎の治療方法とは
まずは自分がどんな物質に対してアレルギーを持っているのか特定しなければ始まりません。病院での問診や鼻鏡検査、X線検査、鼻汁好酸球検査などでアレルギー性鼻炎かどうかを調べ、皮膚テスト、採血による検査などを行います。その上でヒスタミンやステロイドなどの薬物治療が行われます。薬物治療ですっかり良くなるという人もいますが、花粉症のように毎年憂鬱な季節が必ず来るという人もいます。
花粉症に対する最新治療とは
花粉症を完全に治す治療法は、減感作療法と呼ばれるものです。この治療法は、アレルギー反応を起こす原因物質を主成分とする注射薬を週に1~2回皮下注射するというものです。しかし、この治療法は毎回病院に通って、しかも完治までに数年かかり患者さんにとっては非常に負担になるものです。
そこで開発されたのが「舌下免疫療法」と呼ばれるものです。これは舌の表面に直接アレルゲン物質のエキスを含ませるという方法で、治療の最初は通院しますが、後は自宅での治療ができるというものです。
やり方はとても簡単、まず舌の下にパンくずを置き、花粉症の原因であるスギ花粉抗原エキスを落として含ませるだけです。約2分間この状態をキープして、後は吐き出します。治療の目安としては最初の4週間は1日1回、その後は花粉の季節が終わるまでに週に2回、その後は1か月に2回のペースで行います。
この治療法は副作用も少なく、何よりも患者への負担が少ないということから、徐々に広まってきています。花粉症で悩んでいるという人は、かかりつけの病院で一度尋ねてみてはいかがでしょう。
写真出典:photoAC