歳を重ねてくると、身体の機能が衰えてきて、いろいろな病気にかかりやすくなります。「パーキンソン病」もそのひとつで、50歳以降にかかることが多く、脳内のドーパミンという化学物質が不足して起きる病気です。手足が震える、筋肉がこわばる、動作が鈍くなる、体のバランスがとりづらく転びやすくなるといった症状が特徴です。パーキンソン病は、ゆっくりと歳月をかけて進行する病気で、適切な治療を受けないままだと寝たきりになるおそれもあります。体が思うように動かないことから、パーキンソン病患者は運動への意欲が低下して運動不足になりがちです。薬物による治療が基本ですが、さまざまなリハビリテーション(以下、略してリハビリ)をおこなうことで、身体機能の維持回復を図り、症状の進行を遅らせることができます。
今回は、パーキンソン病のリハビリについて紹介します。
- 運動療法
1回平均20~30分を目安に、週3回ほどおこなうのが理想とされています。
担当医や理学療法士と相談して適切な指導を受けながらおこないましょう。
① 体幹のリハビリ
パーキンソン病患者は姿勢が前かがみになりやすいので両腕を上げてゆっくり体を伸ばしましょう。机や壁を使って背筋を伸ばしたり、手を握ったり開いたりすることも有効です。体を左右にねじって体幹のこわばりを防ぐ運動もおこないましょう。パーキンソン病患者は体のバランスが悪い人が多いので座っておこない、痛みのない範囲で続けましょう。
② 頭と首のリハビリ
パーキンソン病患者はあごが前に出るのが特徴なので、頭を左右にゆっくり倒したり回したりする運動をおこないましょう。
③ 横になっておこなうリハビリ
あおむけになって両足を曲げて起き上がったり、うつぶせになってゆっくり上体を起こしたりします。背中が丸くなる円背(えんぱい)症状のある人にうつぶせは有効です。
④ 歩行・バランスのリハビリ
一定の間隔の目印をまたぎ歩いたり、音や合図に合わせて歩いたりします。ふらつきがある場合は、介護者が必ずついておこないましょう。バランスのリハビリは、両ひざを立ててバランスを取る、両手を組んで足を延ばしたまま寝返りをする、などをおこないます。
- 音楽療法
メトロノームやパーキンソン病患者の好きな音楽を用いて歩行訓練をおこないます。腕の振りや歩幅が大きくなって歩行障がいの改善に効果があります。
- 嚥下訓練
パーキンソン病が進行すると、むせやすくなったり食べ物が飲み込みにくくなったりします。綿棒などを氷水にさっとつけて水気を切り、舌の付け根をマッサージすると嚥下反射が促されます。
- 言語療法
パーキンソン病になると声が小さく聞き取りにくい症状が出てきます。姿勢を正しくして深呼吸をおこない肺活量を増やしたり、口の周りの筋肉をマッサージしてなるべく大きな声で長く発声したりする訓練をおこないます。
- 日常生活がリハビリ
着替え、調理、掃除など自分でできることは自分でやりましょう。散歩や社会との交流など積極的に外出することも大切です。
パーキンソン病の進行を遅らせ、体の機能の回復・維持のためにリハビリは必要不可欠なものです。薬が効いている時間に無理せず自分に合ったリハビリから少しずつ取り入れていきましょう!