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労働災害を起こす前に知っておくべき補償のしくみ

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どんな場合が労働災害に当たるのか?

労働災害は大きく分けて、業務上の災害にあたる業務災害と、通勤途中で起きる通勤災害に分かれます。

 

伝統的な労働災害では、工場での指切断・建設現場での転落などの肉体的損傷が生じた場合が問題になっておりました。近年注目される労働災害としては長時間労働やパワハラを原因として、精神疾患(鬱病や抑うつ状態)になり、休職・自殺に至るというものがあります。自殺は故意による労働災害で法律上の理屈では認められないのですが、厚労省通達で認められるようになってきています。

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労働災害と認められたらどんな給付がいついくらもらえるのか

労災保険の給付として代表的なものとしては、治療・休業・死亡といった状況に応じて下記の3種類があります。

 

・療養補償給付:労災指定病院での医療費全額を免除

もしくは労災指定以外の病院で支払った医療費全額を後から受給

・休業補償給付:休業開始後4日目から傷病が治ゆするか死亡するまでの休業補償

・遺族補償給付:労災により死亡した後、遺族に遺族補償年金(親族の範囲に制限あり)

遺族一時金(遺族補償年金がもらえない場合)のいずれかがもらえます。

 

さらに休業から1年6カ月後、下記の状態になった場合は、休業補償給付が終了し下記の給付がもらえます。

 

・障害補償給付:傷病が治癒し一定の症状が固定した場合に

障害補償年金(障害等級1~7級の場合、程度が重い)もしくは

障害補償一時金(障害等級8~14級の場合、程度が軽い)がもらえます。

・傷病補償年金:傷病が治癒しない場合にもらえます。

・介護補償給付:重度の障害で介護を受けている場合にもらえます。

 

もらえる金額は下記の通りです。給付基礎日額は被災者の平均賃金により決まります。

・休業補償給付:給付基礎日額の8割(休業特別支給金名目含む)

・障害補償年金:年額が給付基礎日額の131日分~313日分(収入約4~10カ月分)

・障害補償一時金:給付基礎日額の56日分~503日分の一時金(収入約2ヵ月弱~1年半弱)

・傷病補償年金:年額が給付基礎日額の245日分~313日分の年金(収入約8~10カ月分)

・介護保障給付:介護費用の実費で常時介護56,600円~104,290円

随時介護28,300円~52,150円の範囲内

・遺族補償年金:遺族数に応じて年額が給付基礎日額153~245日分(収入約5~8カ月分)

・遺族一時金:給付基礎日額1000日分の一時金(収入約3年弱分)

 

申請する際には、2年の時効(障害補償給付と遺族補償給付は5年)に気をつけてください。また労働基準監督署の調査が半年~1年程度かかり、もらえるまでの時間が長くなるケースも多々あります。

 

労災保険の給付請求の手順

基本的な流れとして、上記で紹介した各労災給付の請求書が定められていますので、もらう給付毎に指定された様式の請求書に被災者本人が記載し、労働基準監督署に提出します。

 

ただし遺族補償給付の場合請求するのはご遺族、労災(指定)病院で治療している場合で、療養補償給付の請求書提出先になるのは労災(指定)病院となります。また傷病補償年金は請求書ではなく傷病の状態等に関する届を提出します。

 

事業主が提出することはありませんが、請求書に証明をすることになります。また労災(指定)病院に提出するのでなければ、病院の証明も必要になります(介護補償給付は不要)。

 

障害補償給付と遺族補償給付の請求書に関しては、被災労働者の個人番号(マイナンバー)の記載が必要になり、本人確認書類(個人番号カード、もしくは個人番号通知カード+運転免許証等)の提示も求められます。

 

労働災害と認められたら、会社はどのような責任を負うのか

企業は労働者に対し、労働災害にあわないように安全配慮義務を負っています。労働災害と認められると、企業は安全配慮義務に違反したことになり、企業側に責めのある場合は民法上の損害賠償責任を負います。

 

実際の取り締まりには、予防措置をとっていなかった場合に労働安全衛生法違反に問われることが多く、具体的には20条~27条に定める「事業者の講ずべき措置等」の違反で、労働基準監督官が捜査し送検されるケースが多々あります。また、刑法上の業務上過失致死傷罪で警察が捜査し刑事責任を問われることもあります。

 

また企業は労働者に対し災害補償責任が発生しますが、これは企業が労災保険に加入することにより、企業に肩代わりする形で国が労働者に補償することになります。

 

会社が訴えられないために

企業には安全配慮義務が求められますので、根本的な姿勢として労働災害を防止するという発想が重要です。その発想に基づき、実際に予防するための措置も実行する必要があります。

 

製造業や建設業などでは、従来から労働安全衛生関係の法令・通達で講ずべき措置が定められています。機械装置に柵を設けたり、転落防止のため段差解消したりするなどの措置を、労働者任せにせず企業側が責任をもって行うべきなのです。

 

通勤災害に関していえば、自転車通勤が増えてきている一方で法令違反に厳しくなっていますので、自転車通勤に関する内部規定が無い場合は整備が必要でしょう。そもそも自転車通勤を認めるかどうかも決めておく必要があります。

 

さらに精神疾患の労災認定が増えていますので、長時間労働・パワハラの防止や内部通報制度など、労働条件の改善に加え、企業統治の強化も図ることが考えられます。

 

また、万が一訴えられてしまった場合の備え強化も考えておく必要があります。使用者賠償責任保険のような民間の損害保険を使い、賠償金が発生した場合に保険がおりるようにしておくことも考えられます。またこちらの保険は、慰謝料請求や弁護士費用に対しても補償してくれます。

 

まとめ

労働災害を起こしても、被災者に労災給付を申請させない等の勧奨を行ったり、労災かくしを行ったりすることは論外です。労災給付の請求に事業主の証明は必要ですが、証明なしに被災者本人だけでも申請できるからです。その後企業側に労働基準監督署の調査が入ることになり、労災かくしが発覚します。

 

労働災害はきちんと認めたうえで、今後発生させないための防止策をきちんと講じることが、今後の企業のあり方としても重要と言えます。

 

ケガ・長時間労働・パワハラ・セクハラなどを未然に防ぐための予防策を、現場の声を拾い上げながら策定し、また企業としても組織体制を整えていく必要があります。

 

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