外国人労働者の人たちと初めて話したのは中学生の時です。
当時中学校の周りには造船所がたくさんあり、そこで東南アジアから来た外国人労働者の人たちがたくさん働いていました。
私の友達でお父さんが造船所に勤めている人がいて、その友達がどうしたことがお父さんの友達を紹介すると言って連れてきたのがそれらの造船所で働いていたフィリピン人の労働者たちでした。
彼らは日本に外国人技能実習生の制度を利用して来ていたので、造船所にあった寮に住んでいました。
今思うと私たちは中学生だし、話も合わないだろうと思うのですが、その友達のお父さんももてあましていたのか私たちに彼を任せて仕事に戻って行きました。
私たちは好奇心旺盛の中学生でしたから遠い異国の地(フィリピンと言う国がどこにあるのかを知っていたのは友達3人のうちの私だけでした)から来た外国人労働者がどういうものかすごく興味はありました。
ですがどうやって話していいかわかりません。タガログ語も話せるものはいませんし、英語は少し私が話せました。
お父さんが造船所にいる友達はハローというところをジローと言って私たちにもろ笑われていましたし、もう一人の友達は自分たちが中学生だということを説明しようとしてジュニアハイスクールと言うところをジュリアハイスクールと言って私たちの中学校の名前はジュリア中学校だと思われてしまいました。
仕方ないので私が英語で通訳したのですが、今思うと友達のお父さんは私が英語を話せると言うのを知っていて、私たちにその人たちを預けたのかもしれません。
どちらにしろ英語でしか話せないので英語で話をしました。
聞いてみると彼らは30代の男たちで、5年前から日本に来て外国人労働者として生活していると言うことでした。
3人いたのですが、みんな妻帯者で母国に奥さんと子供がいるということでした。
寂しくないのかと聞くととても寂しいと言っていました。そしてみんな家族の写真を持っていて、その写真をみんな見せてくれました。
それらの写真にはその人たちの家族が写っており、彼らはそれを皆肌身離さず持っているところに私たちは感動しました。
母国にはいつ帰るのかと聞くと、年に一回クリスマス前に帰ると言っていました。ですが今年のクリスマスは会社で特別な仕事があるので帰れないとぼやいていました。
そこで友達が、じゃあ今年のクリスマスは僕たちが祝ってあげるよと言い出しました。
私は英語も話せないのにまた何を言い出すのかと思ったのですが、相手の男たちはすごく喜んでいます。
仕方ないので、クリスマスの日に中学校の近くの公園で待ち合わせすることにしました。
それからが問題です。私たちは男3人なのでクリスマスケーキなんか作れるはずがありません。
おまえに公園を待ち合わせ場所にしたので食べるところもありません。
ああだこうだと言っているうちに時間がたってしまい、明日がクリスマスと言う日になりました。
当然明日どうしようかと言うことになり、とりあえずクリスマスプレゼントは買おうと言うことになりました。
もちろん買う係は私です。
みんなで500円ずつ出し合って何とか3人分のプレゼントは買いました。
相手が家庭もちの旦那さんなので、プレゼントは靴下にしました。
そしてケーキはないけどお菓子を買ってなんとかクリスマス気分を盛り上げようとしました。
今思うと中学生に知恵でやったので笑いたくなるようなものですが、それで当日は大丈夫だと思って意気揚々と公園に行ったのを覚えています。
当日はクリスマスにしては暖かい日で、私たちが公園に行った時にはもう3人は来ていました。
私たちは持ってきたプレゼントを彼らに渡して、持ってきたお菓子をみんなで食べてメリークリスマスと言ってジュースで乾杯しました。
彼はとても喜んでくれて、通訳の私は一安心でした。
彼らも英語が堪能ではなく、片言だったのでわかりにくいところもありましたが、なんとかパーティーは成功しました。
最後に3人の中の一番年長の男の人が私たちにマフラーをプレゼントしてくれました。
それは買ったものではなく、彼らが使っていたものか、彼らの家族が使っていたものかわからないのですが、赤い毛糸のマフラーでした。
日本は寒いというので奥さんが外国から買って持たせたらしいです。
(フィリピンはマフラーをするような寒い国ではないはずですから)それは1本しかなかったので、お父さんが造船所で働いている友達が持って行きました。
最高のクリスマスだったと言ってくれて彼らは去って行きました。
私たちは中学生ながらすごくいいことをしたと言う気になり、そのあとみんなで本当のケーキを食べて祝ったのを覚えています。
それから彼らと会っていませんが、今生きていると相当な高齢になっているはずです。彼はいまどうしているでしょうか?私たちの送った靴下を使ってくれているでしょうか?
あれから20年以上の時がながれました、今になって外国人労働者の彼らのことが少し気になっています。
外国人労働者の人たちにグッドラック!共に楽しい時を過ごせたことにありがとう。
今、この言葉を彼らに送りたい私です。
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