マインドフルネス瞑想とは、東洋の禅と西洋の心理学を統合して開発された精神療法です、アメリカでは20年以上前から研究・実践され、日本でも最近注目されています。マインドフルネスとは「気づき」を意味します。気づく対象は「今生きているこの瞬間」です。その現実を「良い」か「悪いか」、「正しいか」「誤りか」という評価を一切加えずに「あるがままの自分」を感じ取り、受け入れるという考え方です。こういった考え方をベースに瞑想を行うマインドフルネス瞑想は、うつ病やパニック障害に効果があるとされています。
マインドフルネス瞑想のやり方
マインドフルネス瞑想をする環境は、できるだけ静かな環境で、朝晩10分程度行うといいでしょう。まず体の力を抜き、背筋を伸ばしてイスに腰掛けるか、畳や床に座って軽く目を閉じます。呼吸は腹式呼吸でゆったりと行います。呼吸も特に意識しすぎるのはいけません。そして浮かんでくるイメージや考えを無理に止めたりコントロールしようとせずに、ありのままを受け入れます。
大切なことは、瞑想中に起こるすべてのことを一切評価しないということです。
たとえば心の中に湧き上がる思いなどに対して「良いか悪いか」の判断をしない。沸き起こる思いから逃げようとしない。不安な気持ちに対して、どうにかしようと思わない。自分の気持ちや慣習にとらわれないなどです。
マインドフルネス瞑想の効果とは
マインドフルネス瞑想を行うと、自分の思考や感情をコントロールする力が育ちます。やり方さえマスターしてしまえば、自宅でも毎日できますし、不安を感じた時にもいつでもどこでもできます。その効果は精神心理学での認知行動療法効果と匹敵するくらいだとも言われています。
自分の思考や感情に巻き込まれずに、より客観的に観察していこうというのがマインドフルネス瞑想です。そのためPTSDの治療でよく行われる「暴露療法」とも深い関連性があるといわれています。
暴露療法とは、怖いから避けるのではなく、あえて近づくことで、トラウマ記憶に慣れていくという治療方法です。この暴露療法も感情をコントロールできるように訓練するということが目的となっています。
腹式呼吸の大切さ
マインドフルネス瞑想の時はできるだけ腹式呼吸を意識して行います。瞑想だけでなく、自律訓練法やヨガなどのリラクゼーションには腹式呼吸が欠かせません。なぜなら腹式呼吸をすると、リラックスの脳波であるα波が増えて、心を落ち着かせたり、脳を活性化する効果があるからです。パニック発作が起きた時にも、腹式呼吸をして自律神経を安定させると症状も和らぎます。
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