従来の介護食(主に咀嚼や嚥下機能の衰えがある人向けに二次的な調理で食べやすくした食事)は、「きざみ食」や「ミキサー食」が一般的でした。「きざみ食」とは、包丁やフードカッターなどで時間をかけて細かくする調理法で、「ミキサー食」とは、ミキサーをかけて流動状に柔らかくする調理法です。
これらの調理法は、むせやすく誤嚥を引き起こす可能性があったり、どろどろとした流動状の見た目が食欲をそそらなかったりするものでした。そこで近年の介護食の主流は「ソフト食」という調理法です。「ソフト食」は、「ミキサー食」の前の段階で、食材の色や形を残しながら柔らかく舌で押しつぶすことができる食事です。
今回は、「ソフト食」について紹介します。
■「ソフト食」の定義
「ソフト食」は平成7年、管理栄養士の黒田留美子さんが介護老人保健施設などで勤務した経験をもとに「高齢者ソフト食」として考案したのが始まりとされています。黒田さんは著書の中で「ソフト食」とは、
①舌で押しつぶせる硬さである
②食塊となっており、飲みこみやすい状態である
③すべりがよく、移送しやすいものである
と、定義しています。
■「ソフト食」の特徴
普通食に近い見た目なので「ミキサー食」と違って食欲をそそり、「きざみ食」よりも誤嚥の可能性が低い点が特徴です。
■「ソフト食」作りのポイント
「ミキサー食」は食材を一緒にミキサーにかけて作りますが、「ソフト食」はそれぞれの食材ごとにミキサーにかけて固め直し、普通食に近い形に作ります。「ソフト食」作りのポイントは次の通りです。
①柔らかいものや脂が多い食材を選ぶ
例を挙げると、野菜はアボカド・山芋・なすなど、肉はヒレ肉・ひき肉・鶏ささみなど、魚は銀だら・サーモン・スズキなどが調理しやすいです。
②「つなぎ」を加えてまとまりやすくする
「ソフト食」は一度ミキサーにかけた食材に「つなぎ」を加えて再形成し、食べやすくします。「つなぎ」として使う食材は、卵・山芋・玉ねぎ・片栗粉・油脂類などです。特に油脂類は、嚥下機能が衰えた人はのどのすべりが良くなり、食べやすくなります。ごま油やオリーブ油など香りが良い油を使うと、料理の風味も良くなります。
③調理法を工夫する
「蒸す」調理法は、水分を閉じ込めてふっくらと仕上がり、栄養価も高いまま食べられます。
「とろみをつける」調理法は、汁物や煮物に片栗粉などでとろみをつけたり、料理にあんをかけたりして、のどのすべりを良くします。
ゼリー作りに使うゼラチンを活用するのもおすすめです。
④便利な調理器具を活用する
一日三度の食事作りを手早く作れる圧力鍋や電子レンジ、フードプロセッサーなど便利な調理器具を活用しましょう。
⑤「ソフト食」の配食サービスを利用する
時には配食サービスを利用して、食事作りの負担を減らしましょう。
いかがでしたか?見た目も味も良い「ソフト食」を取り入れて、毎日の食事タイムを安全・安心で楽しいものにしましょう!
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