外国人技能実習制度

研修制度って何!?外国人技能実習生制度

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研修制度とは、外国人技能実習制度の前身の法制度のことです。

日本国内のおける「外国人研修生」を日本で研修を行う制度を「」と省略して呼んでいるようです。

2010年に出入国管理法が改正されて「研修制度」は「外国人技能実習制度」に移行されたのです。

言葉が非常に似通っているのでとても紛らわしいのですよね。

また更に間際らしいのは、なぜか在留資格としての「研修」は廃止されていない状況なのでとても混乱を招いているのです。

 

研修制度の風景

研修制度の風景

 

研修制度の歴史

研修制度には、古い歴史があり1960年代の後半に世界に飛び出した日本企業が国際貢献と国際協力の一環としてスタートさせました。

もともとは、現地法人の社員さんを日本の本社で研修していたのですが、その社員さん達が母国に帰国後に能力を発揮させたという多数の実績から在留資格までが発行されることになったそうです。

戦後わずか30年くらいからの日本企業からスタートした国際貢献事業だったのです。

1990年代でみますと、当時の日本の平均月収が30代で約50万円に対して、アジア諸国の平均月収は5000円だったのですから約100倍近い賃金格差、経済格差からの技術移転は真の国際貢献であったかと思います。

逆の視点で見ますと、研修制度の存在が問題視され、非難されはじめた2000年時点は日本は失われた10年という大不況時代のまっただなかであり、平均給与は上がるどころから約30%ダウンし、30代平均で30万円まで下落してしまいました。

同時に並行して、アジア諸国の賃金は現在は平均して月収8万円。

1990年から急上昇してきたので約15倍に成長したそうです。

シンガポール、台湾、香港、上海などでは日本の月収よりも多いような状況も散見されてきました。。。

100倍の賃金格差からスタートした制度も、日本の30%ダウンとアジア諸国の15倍の経済成長とのダブルパンチでその役割を終えてしまったと考えた方がよいのかと思います。
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研修制度の歴史

 

 

研修制度についての情報

 

  • 研修生は、国家間で提携した国同士に限定される。
  • 研修生は、各国家が認定した送出し機関から送り出され、日本政府の認定した受入れ機関において研修する。
  • 研修生は、在留資格として「研修」で来日し。滞在期間は1年。
  • 研修生は、技術移転を行うため研修計画が作成され、研修生はこれにそって研修する。
  • 研修生は、期間中に国の技能検定基礎2級等を受験し合格する必要がある。
  • 合格した研修生は、引き続き日本でより実践的な業務のために更に2年の間滞在して勤務することができる。
  • この制度では、研修・技能実習と合わせると最長3年間の滞在期間となる。
  • 試験を不合格で終えた研修生は、帰国となりその後、日本に残ることはできません。
  • 技能実習の在留資格は、試験の合格者のみしか受け取れない資格となります。
  • 日本国内におけるその外国人研修生の身分は研修生という扱いになり、給付金についても研修手当という名目で主に生活実費という形で支払いしか出来ません。
  • 外国人研修生と日本国内企業との間に雇用契約の締結も必要なく、その日本国内企業で従来適用されている就業規則についても適用外という扱いになり、社会保険等についても加入させる必要がありません。
  • 但し平成22年7月1日の改正後、外国人研修制度は、外国人技能実習生制度となり、研修手当ではなく給与となり、残業や休日出勤が可能になるなどの変更点と、就業規則や社会保険についても加入させなければならなくなりました。
研修制度の情報

研修制度の情報

 

 

いかがでしょうか?ずいぶんと現在と違って大雑把な制度だったのですよね。。。。

こういった背景から、制度が生まれたときからの本来の趣旨からはずれて多数の問題が発生するようになっていったのです。

特徴的なぶぶんだけをピックアップしたのですが、これらだけでも抜け穴だらけで悪用者があとをたたなかったようですね。

 

 

研修制度の受け入れ方式

現在の技能実習生の受け入れとまったく同じ方式になります。

受け入れ方式1:団体監理型 農協、漁協、商工会議所、事業協同組合、公益法人等のみが会員である企業と協力して研修生を受入れる方式。

受け入れ方式2:企業単独型 1企業単体で受け入れいる方式。(合弁企業・現地法人・一定の取引先企業等でも可能となっている)

当初は、企業単独型が多数あったようだが、コスト面、監理の責任などの問題から団体監理型が主流となった。

これが現在にも引きつがれている状況となっています。

2017年現在では企業単独型は、全体の5%程度しか存在していません。

受け入れが可能な人数も現在と同じ制限がかけられている。

受入れ企業の常勤職員20名に付き、研修生1名である。(社会保険対象者の5%以内となっている。)

これらの制度は、そもそも巨大企業向けに整備されてきたものなので、受け入れ人数などは歴史的に見ても同じなのです。

当然のことなのですが、イメージしてみていただきたい

「ある地方の工場の従業員の80%が日本語も話せない、技術も指導されていない外国人だらけ・・・・」などという状況にならないように制限をかけているのです。

企業様のモラルだけで地方の工業都市がパニックになってしまうので、このような制限をかけてきた経緯があるのです。

研修制度の二つの方式

研修制度の二つの方式

 

 

 

 

研修制度の事故、トラブル

  • パスポート取上げ: たとえ預かったとしても違法行為です。
  • 通帳とりあげ強制貯金: 他人の通帳を預かる行為
  • 時間外労働:36協定を超える不当な長時間労働問題
  • 強制帰国:職場の意見に従わない従業員としての扱いですが、社会的な弱者なので問題になっています。
  • 本来の主旨の研修を行わない:国に申請した研修を行わないなどの行為、たの会社などに派遣したりしていた事例もあったそうです。
  • 保証金・違約金: 金銭を押さえての身柄拘束の問題になっています。
  • セクハラ・パワハラ: 日本人と同等に扱うことが求められています。
  • 出稼ぎ採用 :研修ではなく、そもそも出稼ぎという目的で現地から採用しているため本人たちも研修を避ける
  • 劣悪な居住環境:法律で管理されていないため、たこ部屋のような生活に陥っていることもある。

 

研修制度にからんだ事件問題(wikipediaより抜粋)

  • KSD事件:1997年にKSD中小企業経営者福祉事業団と自民党議員の贈収賄事件が発生した。
  • 愛媛県今治市のタオル製造会社事件:企業の経営者が、中国人研修生3人に対し、未払い賃金を支払うよう労働基準監督署から是正勧告を受けた。しかし、支払いを免れるために研修生3人を騙して中国へ連れて行き、置き去りにしたとい事件
  • 賃金未払い訴訟:これは多数発生しているが、顕在したものを事例にします。
  • 2013年、バングラデシュ国籍の女性が、研修制度の受け入れ先である長崎県長与町の企業から給与が10万円しか支払われない状況になった。さらに寮の居住費や仲介業者への支払いなどを天引きされたことで事実上1万円程度しか支払いを受けられなかったなどとして、企業と仲介業者などを相手取り京都地裁に訴訟を起こした。
  • 2015年、研修制度で来日し茨城県の農家で働いていた中国人女性が、セクシャルハラスメントを受けた上、残業代も一部しか支払われない状況となった。
  • 研修生は、農家と加盟する受け入れ監理団体に対して訴訟を起こした。
  • 米国務省の国別人権報告書では2006年版報告書から日本で行われている研修制度(Foreign Trainee)の問題を取り上げている。
  • 創設の主旨と乖離して非人権的な状況に置かれている研修生の状況把握や問題解決などを日本政府に指摘している。
  • 米国の指摘結果から、2010年に研修制度を一新し、技能実習制度に変革したのだが、業界の構造上、いまだに未払いなどの重大な人権問題が発生している状況となっている。
  • 現在は、外国人技能実習制度となり、とても厳しい連座制などの罰則が強化されているので、日本側、受け入れ側の起因した問題は沈静化しつつあるように見える。

 

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