(イラスト:いらすとや)
<E型肝炎ウィルスとは?>
E型肝炎ウィルスは、A型肝炎ウィルスと同じように糞口感染します。
血液の感染であるB型肝炎ウィルスやC型肝炎ウィルスとは違い、急性(一過性ともいいますが)感染するだけで慢性(持続性)感染はしないのです。
なのでE型肝炎ウィルス感染しても、慢性肝炎・肝硬変または肝細胞がんになることはありませんので安心してください。
大変不思議なことなのですが、子供がE型肝炎ウィルスに感染したとしても、症状はなくたとえ症状が少しあっても、とても軽くすみます。
しかし大人になってからこのE型肝炎ウィルスに感染すると、A型肝炎ウィルスに感染するよりも肝炎の症状がでる度合いが10倍もあがります。
また、症状もひどく、劇症肝炎で亡くなる可能性が高くなります。
特に妊婦が妊娠後期の4か月くらいにE型肝炎ウィルスに感染すると、だいたい20%の人が劇症肝炎となります。
高齢者の特に男性が感染したとしても、劇症肝炎になりやすいとされています。
(イラスト:いらすとや)
<海外を例とすると・・・。>。
下水の浄水設備が不十分である発展途上国では、E型肝炎ウィルスを含む糞便が飲料水に入っていくと、アウトブレイクといって「感染爆発」が起こり、一回で10万人の人たちが感染し、もちろんその中の人では症状が酷くなる人も出てきます。
E型肝炎ウィルス感染の実態としては、感染頻度の高いインドで特に良く調査されています。
E型肝炎ウィルスは、急性感染だけで、ウィルスが血液の中にいる時は、長くて1か月から2か月くらいなものです。
E型肝炎ウィルスに対する抗体(HEV抗体)を測定すると、過去に感染した人がどのくらいいるのかがわかってきます。
インドでは10歳までに90%の人が感染して、生涯の免疫が続くA型肝炎ウィルスと違い、
E型肝炎ウィルス感染は10歳までは少ないのです。
20歳でようやく約30%の人が、HEV抗体の陽性となり、そのあとは増加しません。
また、残りの70%の人たちは抗体がないので、E型肝炎ウィルスに感染する可能性が高く、その人たちでは感染爆発が起こりやすいと言ってもいいでしょう。
100%の人たちに、感染の既往があって、国民全体が免疫を獲得しているA型肝炎ウィルス感染は、爆発的な広がり用はありません。
HEV抗体からみても、インドではE型肝炎ウィルスがA型肝炎ウィルスと同じように、環境の中に広く適応しているのではないかと考えられます。
それにもかかわらず、E型肝炎ウィルスに感染した人の割合が、30歳以上で増加しないのは本当に不思議と言っても過言ではありません。
とにかく、日本やアメリカなどの先進国には、このE型肝炎はないといいますが、実は
時折流行を引き起こしたりしています。
日本においても、E型肝炎による感染者も含めて死者でています。