この結節性硬化症は、どんな病気かというと、主に神経と皮膚に認められる異変を特徴とする疾患で、小児期に発生しやすい病気です。
罹患率は6000人~1万人に1人の割合です。
遺伝に関係しているのではないかとも言われています。
しかし多くは突然変異による発症によるものです。
<結節硬化症の原因は何か?>
細菌の研究でわかったことなのですが、結節硬化症の発症の原因は遺伝子異常であることがわかってきました。
結節性硬化症の原因遺伝子は、現在では2種類がわかっています。
遺伝子の異常といっても、その多くは突然変異なのです。
この場合は両親には異常は認められません。
この遺伝子はどちらも細胞が腫瘍化するのを抑制する働きがあると、今は考えられていて、その異常によって細胞が腫瘍化しやすくなっていろいろな症状が出てくるのではないかと考えられています。
<症状はどのように表れるのか?>
体の中での病変の分布や発症年齢がとても幅広く多様です。
小児期に一番多い症状は、てんかんです。
運動の機能や知能・言語の発達の遅れが時々見られますが、完全に正常であることもあります。
皮膚の病気としては、頬や鼻の周りにニキビと間違うような皮疹(血管線維腫)、色素が抜けた不定形の皮疹(白斑)などが見られるようになります。
時には腎臓や心臓・眼底に腫瘍がみられることもあります。
この場合はそれぞれ高血圧や不整脈・視力低下が見られることがあるのです。
<では検査と診断はどうなの?>
診断ですが、体の診察・心理発達検査を基本としており、頭部のCT・MRI検査で診断されます。
また、合併症があるかないかを調べる検査として、血液・尿検査・脳波・腹部超音波検査・心臓の超音波検査・眼科的検査などが含まれることがあります。
診断基準があって、多く用いられています。
<治療方法は?>
残念ですが、病気そのものを根本的に治す方法は今のところありません。
しかしそれぞれの症状に適した治療を受けることが可能となっています。
てんかんの治療としては、抗てんかん薬の服用、腫瘍が大きい場合は外科的切除、運動機能及び知的機能の障害に対しては、リハビリを中心とした機能保持訓練などがあります。
てんかんは遺伝が関係している可能性があることから、必要に応じて遺伝カウンセリングが行われることがあります。
とても良いことに、この疾患を持つ患者さんと家族のための親の会があって、情報交換が行われています。
このことによって、自分だけではないという孤独感がなく、みんなで意見を出し合い頑張っていけるようになります。
(イラスト:いらすとや)