減感作療法とは「特異的免疫療法」とも呼ばれている治療方法です。ある特定のアレルゲン(抗体)によって体内で抗体がたくさんが作られて、アレルギー反応を起こす準備ができた状態になったとき、体に免疫機構はそのアレルゲンを特異的に認識し、抗体はそのアレルゲンと結合しようとします。この性質を逆手に取ったのが減感作療法です。
具体的には、最初はごく少量のあれる原液を皮下注射し、だんだんと増やしながら週に1~2回注射を繰り返します。アレルゲンに対して過剰な反応を起こさないように体を慣らして、アレルギー体質を改善していきます。
この減感作療法の対象となるアレルゲンは主にハウスダストと花粉で、治療期間は少なくとも2~3年かかるといわれ、治療を受けた人の約70%が症状軽くなったという報告もあります。
減感作療法の特徴をまとめると
- 長期にわたって症状が出なくなったり、完治が期待できる
- 効果が出るまでに時間がかかる
- 長期の定期的な注射が必要
- アレルゲンの特定が必須
- まれに重篤なアナフィラキシーショックを起こすことがある
最新治療「舌下免疫療法」とは
花粉症を根治する唯一の治療法は減感作療法です。ところが上記のようにアレルギー反応の原因物質を突き止めて、そのアレルゲンを主成分とする注射を週に1~2回も打たなければなりません。注射の痛みもありますし、頻繁に通院しなければならす、また完治までに数年もかかるということで、かなりハードルが高い治療法だともいえます。
しかし、新しい減感作療法のひとつに「舌下免疫療法」と呼ばれるものがあります。これは舌の表面に直接抗原エキスを含ませるという方法で、最初の2週間で量を増やしていき、3週目からは同じ量の薬を毎日舌の下に垂らしていきます。1回目だけは医療機関で行ないますが、以降は毎日自宅で行ないます。
最近までは日本では臨床試験の段階でしたが平成26年10月からは「シダトレン」という名前のスギ花粉を含むエキスが発売されました。舌の下にこの液を垂らします。舌の下に保持したまま2分間そっとしておき、その後に飲み込むという治療方法です。
治療開始時期は、スギ花粉の飛散が始まる3ヶ月以上前から治療を開始すると効果的です。安全に行なうためにスギ花粉の飛散する時期には原則として治療を開始できませんから、花粉の飛散が終わる夏以降まで待つこととなります。
薬の味ですが、花粉を溶かしている液にグリセリンがはいっているため、やや甘さがあり、少し酸味もあります。子どもでも十分耐えられる味ではないでしょうか。
写真出典:photoAC
http://www.photo-ac.com/main/search?q=%E8%88%8C&srt=dlrank&pp=119