外国人技能実習制度において「現代の奴隷ではないか」と話題になる外国人の起こす事件や事故ですが、意外にもそのほとんどが「ある意味」受入企業に起因して起きているということをご存知でしょうか?
受入企業が起こすトラブルや事故の傾向を知り、対策をしておくことで取り組みにくいと思われる技能実習制度も安全安心の運営ができるようになるのです。
受入企業が実習生を奴隷扱いしてトラブルや事故を起こすと
外国人技能実習制度では「実習実施機関」である御社がトラブルや事故と言われる問題を起こすとどうなるのかをご存知ですか?
技能実習制度の性質上、ほとんどの責任が実習実施機関である企業側つまり御社にかかってくるのです。
それだけでなく、実習実施機関である御社と御社を監理する監理団体は、問題とされる状態が解除されてから一定の期間を受け入れ禁止期間とされてしまいます。
一定の期間を置いてからしか再度の受け入れが出来なくなります。
もし、御社の起こした問題が原因で、監理団体まで不正行為認定とされ受け入れ停止の罰則が及びますと、その監理団体の会員である近隣の企業まで実質的に受け入れ停止状態となります。
監理団体の多くは同業者の協同組合です。
近隣の企業と言えばライバルでもありますが、同じ地元の企業であり親戚づきあいのようなものです。
ここに迷惑をかけてしまえば地元でのビジネスのにどれだけ大きな損害を与えることになり、御社の継続は非常に難しい立場に立たされます。
しかし、この連座制とも言える罰則によってかなり問題行為は少なくなってきたと聞いていますので、必要な厳しさだったのかもしれません。
外国人技能実習制度において、受入企業が起因して起こしてしまうトラブルや事故の種類
・技能実習の計画に従った技能実習の実施。=御社には技能を修得させる責任があります。
・技能実習生の解雇問題。 =技能実習生の採用責任は御社にあります。
・不適切な方法による技能実習生の管理 =外出禁止、旅券、通帳、在留カード、携帯電話の預かり保管等。
★人権侵害にあたる行為となります。たとえ技能実習生本人から依頼されても預かってはいけません。
・労働関係法令への違反。
御社が実習実施機関として、責任を持って雇用契約に基づいて技能実習を行うことになります。
技能実習の実施にあたっては、雇用関係として労働関係法令を遵守することが特に必要となります。
労働関係法令の違反は、不正行為認定とされます。
技能実習生とは、正規の有期雇用契約となるため、36協定はじめ各種雇用契約が必要となります。
・賃金の支払い
最低賃金法、労働関連法案を遵守して支払う事になります。休日、残業には割増賃金が必要になります。
給与からの違法な天引きなどの行為も、不正行為認定となります。
・技能実習生が関わった問題や、失踪した際の連絡義務
★各種の問題は、監理団体、国、本国と協力して解決することになりますので、報告は義務になります。
・技能実習生へのパワハラ行為。
・技能実習生へのセクハラ行為。
日本人と同じく労働関係法案にしたがって罰則を受けることになります。
日本人と同じ対応と金銭的な賠償を支払う事になります。外国人だから安価と言う事はありませんので、くれぐれもご注意ください。
また、次のような問題も受入企業様にとっては頭の痛い問題になるかと思います。
・技能実習生がウツ、ノイローゼになってしまった。
・技能実習生が病気になってしまった
・技能実習生が妊娠してしまった
・技能実習生が反発して指示命令を聞かなくなった
技能実習生は、たいていの場合、アジア発展途上国の中でも、田舎の地域から来日しているケースがほとんどです。
彼ら技能実習生にとっては、はじめての外国の地であり、はじめての遠出なのです。
不慣れな土地で、不慣れな実習と日本語学習で精神的にとても厳しい状況にあることを理解してあげる事が、問題を未然に防ぐ対策になるのかと思います。
上に記載したような問題は、ほとんどの場合は職場全体での意識共有で回避できることになるかと思います。
意識が共有されていない職場では、実習生に対して見えないところで様々な衝突をするために彼らも追い詰められていくのです。
このような不幸な事態を避けるためにも、実習生の受け入れ体制のに関わる方達の知識やノウハウの均等化、環境整備に努力される事が必要かと存じます。
トラブルや事故を起こさない為の対策は? 実習生は奴隷ではありません
一言でいいますと、トラブルに合いやすい企業様と未然に防ぎきる企業様には明確な差があります。
このような違いは入国管理局も把握しはじめているようなので、最近では、受け入れのための入国すらままならないケースも出てきているようです。
トラブルや事故に巻き込まれないための最善の策は、
「外国人技能実習制度の職場での徹底した準備にあり!」
ということなのです。この認識は制度をうまく活用している企業では徹底されています。
相手を知り、理解し、尊重し、応援してあげることこそが人間関係の成功の要諦なのです。
外国人技能実習生をただの低賃金労働者として扱うのは、愚かな事だと思います。
彼ら外国人労働者は、彼らの国に戻れば別に低賃金労働者ではなく、むしろ高給取りです。
日本語を学び、日本の技能を学ぶ彼らの未来はとても明るいと思っています。
際に、10年前に技能実習生として来日していた方たちは、地元に帰って学んだ日本語と技術でがんばって日本企業との取引を橋渡しした結果、事業に成功したくさんの不動産を所有し大成功者になっているケースも多々あります。
ある成功企業の方が外国人労働者を低く扱う方に対してこんな言葉をくださいました。
「小才は縁に気づかず、中才は縁に気づいて縁を生かせず、大才は袖振りあう縁をも生かす。」
たしかに、日本人と違って、アジア諸国の人はノンビリなマイペースで、プライドも高く、文化も違います。
でも、それはもう前提での採用なので、考え方を変えて成長すべきは企業の側なのだと成功企業の方はおっしゃいます。
日本人の若者採用と似ているなともおっしゃいます。
「いまどきの若いモノは。。。」
私たちもよく言われました。
しかし、現在では年齢を重ね、それを言う立場になってしまいました。
トラブルや事故にあわない企業様は積極的に予防の対策を打っています。
外国人技能実習生の心身の健康や、能力開発のためのソフトであるメンタルケアや、ハードである保険などの仕組みを常に最新最善にして保全している姿勢があります。
外国人の入れる保険について詳しくはこちらもご覧ください↓↓↓
まとめ
一番の対策は、「職場全体での外国人技能実習制度への理解」といえます。
現代の奴隷制度と言われて、実習生たちを追い詰めないように。。。
うまく行っている企業はどのようにして体制を整備しているのか?
一般にうまく行っている企業は、大企業が多いです。当然です。
社内のゆとりが違いすぎますよね。
人事部、総務部、工場関係者などの責任者が大勢で理解した上で動くわけですから、
みなさん熱心に制度を勉強し、相談しあい問題を話しあって相談しあいます。
大手企業でなくても同等の体制を作れる手段はないだろうか?そんな相談も多く寄せられるようになりました。
しかし、技能実習制度の安全な運用は、コンサルティングでは絶対に解決できない問題なのです。
これには、私たちもとても悩みました。。。
技能実習生を受け入れるには、自社で自立的に労務環境の整備と、実習環境の整備を整えていく必要があるのです。
相手が人間である以上、生活をし仕事をする上で、事故やトラブルにあう事が前提になってしまうという側面もあるのが現実です。
しかし、職場全体で取り組まれることで、よい職場環境が作り上げられる事も事実です。
当サイトで推薦しています「アセスメント」などで事例を学び、備え、よい実習の環境を作り上げられることを祈っております。
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