外国人労働者

外国人労働者の働きやすい職場とは

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外国人労働者の働きやすい職場とはどのような場所なのでしょうか?

仕事上での抵抗感からまとめてみたところ、現代の職場に必要な「多様性」に関する面白い結論に至りました。

jitco職種で認定されいる作業の風景

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1.外国人労働者にとっての働きやすさ

2008年に行われた調査を基にまとめられた「日本人就業者と外国人就業者とのギャップは何か ―仕事上での“抵抗感”から探る― 德永 英子 リクルートワークス研究所・研究員」というレポートがあります。(出典元:https://www.works-i.com/pdf/r_000088.pdf)

このレポートは主に専門性を持つ外国人労働者に対しての意識調査であり、技能実習生として来日している労働者たちとは立場も環境も違いますが、日本人と外国人のギャップや外国人労働者の働きやすさ、また働きやすさから見た抵抗感には相容れるものがあると感じたので、ご紹介したいと思います。

ここでの外国人とは中国語圏の人が多く、英語圏の人は少なめだったので中国語圏の人を中心にご紹介いたします。

まず気になったのは日本人と外国人のギャップについてですが、3つの項目に対してギャップが見られました。

①    抵抗感

②    抵抗感の原因

③    コミュニケーション

 

日本人-外国人労働者のギャップ

日本人 中国語圏 の外国人
抵抗感 高い 低い
抵抗感の原因 言語力 仕事の進め方
コミュニケーション 積極的ではない 積極的である

 

日本人は中国語圏の外国人労働者に対して高い抵抗感を感じています。その一方で中国語圏の外国人労働者は日本人に対しての抵抗感は低いという結果が出てきています。その抵抗感の原因を日本人は「言語力」だと答えているのに対し、中国語圏の外国人労働者は「仕事の進め方」と答えています。コミュニケーションにおいては、日本人はあまり積極的ではなく、中国語圏の外国人労働者は、総じて積極的でした。

 

日本人と一緒に働きにくいと感じた理由で現在でもありそうなのは以下でした。

・仕事の進め方が違うこと

・自分の意見をはっきりと言えないこと

・日本人の同僚と給与に差があること

・日本人同士で固まること

 

以上の結果はコミュニケーションを考える意味では非常に興味深いギャップが存在することを示しています。

 

2・労働環境と生活環境

 

我々日本人は外国人技能実習生の働きやすい職場を考える場合、ついつい労働環境の向上を中心に考えがちだが、今の職場環境がそんなに酷ければ、外国人技能実習生制度を活用できないわけで、その部分においての伸びしろは比較的少ないと推測されます。

その中であえて考察するとすれば、先ほどのコミュニケーション方法のギャップによる意思疎通の不便さでしょう。だからと言って、業務の流れを外国人中心に組み直すことが即座に可能な企業も多くはないと思われます。将来的には外国人中心の情報伝達やコミュニケーションの取り方、仕事の進め方を構築した方が、効率が良いことはわかっていたとしても、なかなか変化させられないのが現場であることは容易に想像できます。

その場合、重要になってくるのが技能実習生の生活環境です。技能実習生は仕事のやり方やコミュニケーション不足によって多くのストレスを感じて宿舎に帰ります。そんな実習生を明るく温かく迎えて、話を聴いてあげられる寮長さんの存在が今後ますます重要になっていくでしょう。

現場でのコミュニケーションの方法を変えることはすぐにできなくても、生活環境において、それらを補完することはすぐに出来ることかもしれません。

 

3.事故につながる技能実習生の不満の事例

技能実習生からの不満も放っておけば必ず事故になります。大きな事故へつながる予兆として、よく出てくるのは以下の不満です。

 

・日本語を習得したくない

・技能移行試験を受験(実技、筆記試験)せねば2号へ移行できないなんて聞いていない

・自分が勤める会社の賃金と他社を比べて不平を言う

・残業、夜勤についての不満(稼げない)

・実習生同士、配属先の社員の悪口

 

このような不満が出てきたら要注意です。次に気を付けなければいけないのは生活の乱れです。無断外泊や金銭トラブル、その前兆として部屋の掃除をしなくなります。

整理・整頓・清掃を自分たちで出来るよう、継続したフォローアップが必要です。決して放置していけません。

 

4.働きやすさと受け入れ態勢の関係について

冒頭でお示しした日本人と外国人のギャップについてですが、外国人技能実習生制度を活用する以上、「来日した瞬間に日本人と同じ感覚で仕事させる」というのは無理があります。まず受け入れる我々側が抵抗感を感じないように事前準備をして実習生を迎えることは出来ないだろうか。日本では,“暗黙の了解”や“胸中を察する”などの風土があります。しかし,自分の考えや意思をきちんと伝えたり,説明したりすることが常としている人にとり,日本式では違和感を覚えるのは当然かもしれません。

その一方で前述のレポートではこういう調査結果も出ている。

しかし,日本人の良いところとして, 「締め切りを守る」 「言い訳をしない」 「次回同じミスを繰り返さないように努力して いる」 なども聞くことができ,良いと思われていると ころは認められているのである。

 

これは昨今の日本人の働きやすさにも関係が深いかもしれない、国籍のギャップを年代のギャップに置き換えると妙にしっくりくるのは不思議である。

 

 

 

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