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雇用保険とは何か?人事部が押さえておくべき10のポイント

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雇用保険とは,主な目的は失業した労働者の救済

雇用保険とは、働く意思があるにもかかわらず失業状態におちいっている労働者の救済が主な目的の保険です。政府が管掌しており、加入対象に当てはまる事業所や労働者は加入しなければなりません。

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労働者の教育訓練の補助や雇用の安定も目的

また、在職中の労働者が技能を高めるために資格の取得を行ったり、失業状態にある労働者が再就職のために教育訓練を受ける補助を行う目的もあります。さらに、雇用を安定させるために雇用状態を是正することも目的としています。

 

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《ポイント1》雇用保険が適用される事業所

労働者が雇用される事業所が適用事業所

雇用保険が適用される事業所のことを適用事業所といいます。適用事業所になるには条件を満たす必要があり、その条件は「労働者が雇用される事業」です。

一人でも労働者が雇用されていれば、その事業所は雇用保険の適用事業所となります。これは、事業主が日本人以外であった場合でも、国や地方公共団体が行う事業であった場合でも原則的に変わりません。

 

加入が任意になる3条件

ただし、3つの条件を満たすと雇用保険への加入が任意になる「暫定任意適用事業」となります。暫定任意適用事業となった場合は、雇用保険に加入するために「事業主及び労働者の2分の1以上が希望」しなければなりません。

この暫定任意適用事業になる3つの条件は

 

1,農林水産業(船員を雇用する場合を除く)

2,個人経営

3,労働者の数が常時5人未満

 

です。条件の「3」にある5人の労働者は、事業所で雇っている労働者が雇用保険法の適用を受けない範囲の労働者のみである場合は、適用事業になりません。

 

《ポイント2》加入対象の労働者について

基本は全労働者が対象と考える

雇用保険の加入対象になる労働者は、基本的には雇用保険適用事業に雇用される全労働者です。適用除外になる労働者は7パターンあります。(平成29年1月1日まで)

 

・65歳に達した日以後に新規に雇用される

・1週間の所定労働時間が20時間未満である

・継続して31日以上の雇用が見込まれない

・季節的な雇用者で、雇用期間が4ヶ月以内か1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満

・学生または生徒

・船員

・国や地方公共団体(それに準じる団体も含む)に雇用されていた者で雇用保険よりも手厚い失業保険を受けることができる者

 

もっと詳細に知りたい方は、雇用保険法第6条を参照してください。

冒頭に括弧書きで平成29年1月1日までと書きました。これは、平成29年1月1日以降からは、65歳に達した日以後に新規に採用された人も雇用保険の加入者になるためです。

 

リンク:「雇用保険法」(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S49/S49HO116.html

リンク:「厚生労働省(PDF)」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000136394.pdf

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《ポイント3》パート・アルバイトも対象者

パートやアルバイトも雇用保険の適用対象者になります。適用対象者になるには、2つの条件を満たす必要があります。

 

・1週間の所定労働時間が20時間以上

・継続して31日以上雇用される見込みがある

 

この2つの条件を満たしていれば、パートやアルバイトの労働者も雇用保険の適用対象者です。

また、別の事業所と掛け持ちをしているパートやアルバイトについては、そのパートやアルバイトが主に収入を得ている事業所で雇用保険に加入すればいいことになっています。すべての掛け持ち先で雇用保険に加入する必要はありません。

 

《ポイント4》外国人労働者も対象になる

雇用保険の対象になる労働者は国籍は関係ありません。ですので、外国人労働者であっても条件に当てはまれば雇用保険の適用対象者になります。適用条件はパート・アルバイトと同じで

 

・1週間の所定労働時間が20時間以上

・継続して31日以上雇用される見込みがある

 

になります。

ただし、外国人労働者で日本以外の失業保険制度を利用している労働者や、日本に在住していない労働者については適用の範囲外になります。ですので、海外に自社の支所や出張所がある事業所が、現地で外国人労働者を雇う場合などは雇用保険に加入させる必要はありません。

 

《ポイント5》長期欠勤者も対象者

なんらかの理由で長期にわたり欠勤している労働者がいたとします。実質的に事業所に労働力を提供していないこの労働者も、事業所との雇用関係が継続している限り雇用保険の対象になります。

事業所から労働者に対して賃金が支払われていない場合も対象です。

 

 

リンク:「厚生労働省:雇用保険の加入手続きはきちんとなされていますか!」

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/koyouhoken/

 

 

雇用保険において事業主が行う主な手続き

《ポイント6》雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険の手続きにおいて、事業主が行う主な手続きは2つあります。まず一つ目は、労働者を雇い入れた場合の雇用保険の加入手続きです。雇用保険の加入手続きで注意しなければならないのは、2点です。一つは、提出期限があること。二つ目は、事業所が保管する書類と労働者に渡す書類があることです。

 

期限については、労働者を新規に雇い入れた翌月の10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を、事業所を管轄するハローワークに届けなければいけません。

 

書類については、ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出したあとで戻ってくる書類のうち「雇用保険被保険者証」を労働者に渡し、「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」を事業所で保管することになります。また、「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」には保管期間があり、雇用保険の資格を失ってからも4年間は保管しなければなりません。

 

《ポイント7》雇用保険被保険者資格喪失届・離職票

労働者を新規に雇い入れた場合にも手続きが必要ですが、労働者が退職する場合にも手続きが必要になります。この場合にも、注意が必要なのは、提出期限と保管書類です。

 

まず、期限です。これは、労働者が被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内となっています。この「雇用保険被保険者離職票」は労働者が離職後に失業給付を受けるために必ず必要になる書類になります。ですので、労働者が離職した場合にできる限り早く手続きを行う必要があるのです。

 

次に保管書類です。「雇用保険被保険者離職票」は3枚一綴りになっており、一枚は事業所控え、一枚は離職した労働者控え、一枚はハローワークの控えになります。特に労働者控えは、事業所から労働者へ渡すことになりますので注意が必要です。また、これらの書類の保管期間は上と同じく4年となっています。

 

手続きに必要な添付書類や具体的な書き方については、厚生労働省のホームページに解説が掲載されています。リンクとして紹介しますので、参考にしてください。

 

リンク:厚生労働省:手続きの一覧と必要書類・期限について

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken/tetsuduki_ichiran01.html

 

リンク:厚生労働省:事業主の行う雇用保険の手続き

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page15.html

 

 

ちなみに、各地の商工会議所の会員になっている場合、労働保険の手続きを商工会議所が代行するサービスを利用できる場合があります。このサービスを利用する場合は、労働者の雇用や離職が生じた場合に商工会議所の担当者へ必要書類を持っていけば、商工会議所の担当者が書類の作成等を行ってくれます。

もし、所属する事業所が、商工会議所の会員であるならば一度問い合わせてみるのもいいでしょう。リンクとして「日本商工会議所」のリンクを設置しておきます。こちらのリンクから事業所のある市区町村の商工会議所を検索できますので、ご利用ください。

 

リンク:日本商工会議所

http://www.jcci.or.jp/

 

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《ポイント8》雇用保険の支払い方法

雇用保険料は、労使が分担して支払う

雇用保険料は、事業所と労働者が分担して支払います。支払い額の計算は、事業所が労働者に年間で支払う賃金総額に保険料率を掛け合わせることで行います。この保険料率は、事業所が行っている事業の種類によって異なり、年度ごとに更新されます。

 

例えば、平成28年度の雇用保険料率は、一般の事業で「11/1000」です。

この「11/1000」のうち「4/1000」が労働者負担分とされていて、残りは事業所負担分になります。詳しい計算方法は、次の項目で例をあげます。

 

労災保険料と合わせて「労働保険料」として支払う

雇用保険料は、労災保険料と合わせて「労働保険料」として支払います。労災保険料も、雇用保険と同じく「賃金総額」に事業所ごとに定められた「率」を掛け合わせることで算出します。また、労災保険は、全額を事業所が負担します。

 

厚生労働省のホームページに出ている計算例をそのまま引用すると(率は平成28年度のものを使用)

 

“1年間に労働者に支払う賃金が310万円(従業員1名、毎月20万円×12ヶ月+賞与70万円)の小売業を営んでいる場合。

 

労災保険率…3.5/1000(小売業)

雇用保険率…11/1000(うち被保険者負担分は4/1,000)

 

労働保険料= 賃金総額 ×(労災保険率+雇用保険率)

 

3,100千円(賃金総額)×(3.5+11)/1000(労災保険率+雇用保険率)=44,950円(労働保険料)”

 

引用元:「厚生労働省:労働保険料の申告・納付」

http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_3.htm

 

 

が労働保険の総額になり、この44,950円から労働者の負担分を差し引いた金額が事業所の負担分になります。

 

《ポイント9》分割での支払いも可能

労働保険料の支払いは、2つの条件のどちらかに当てはまる場合は3回に分割して支払うことが可能です。

 

・概算保険料額が40万円以上の場合

・労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合

 

労働保険事務組合というのは、事業主から委託されて労働保険関係の手続きを行う団体で、厚生労働大臣の認可を受けた団体のことです。先ほどご紹介した商工会議所での代行手続きは、商工会議所が労働保険事務組合になっていますので、商工会議所に委託した場合も分割払いを利用することができます。

 

リンク:一般社団法人 全国労働保険事務組合

http://www.rouhoren.or.jp/

 

《ポイント10》失業保険の手続きの概略

失業給付=失業保険は退職した労働者の生命線

失業給付(一般的には失業保険と言われることが多い)を労働者が受ける際に、どのような流れで受給することになるのかを簡単にご案内します。失業給付は、失業状態に陥った労働者が次の就職が決まるまでの金銭的な生命線になる場合もあり、手続きを軽んじたばかりに退職した労働者との間にトラブルを引き起こしてしまう場合があるからです。

 

10日以内に会社からハローワークへ

先ほども触れましたが、労働者が事業所を離職する際には、会社からハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届・離職票」を提出しなければなりません。必要事項を記入し、添付書類を添付したのちにハローワークに提出するのですが、提出期限があります。それは、労働者が離職となった日の翌日から起算して10日以内です。

 

離職した労働者が失業保険を受ける際には、事業所がハローワークに提出し、ハローワークが確認した後の「離職票」が必要です。この離職票がなければ、労働者が失業保険を受けるに当たって非常に煩雑な手続きを踏まなければならなくなりますので、期日はしっかり守って手続きをしましょう。

 

労働者は失業認定を受けにハローワークへ

離職票を無事に労働者に渡した後、労働者は必要書類を揃えてハローワークに失業認定を受けに行くことになります。失業認定というのは、「あなたは働く意思があるのに職がない状態に間違いありません」という認定を、ハローワークにしてもらうこと、と思ってください。失業給付は失業者を対象にした給付ですので、受ける際には、この失業の認定をしてもらうことが必要になります。

 

失業認定以後の手続き等に関しては、ハローワークインターネットサービス内のフローチャート付き解説が詳しいです。リンクをもうけますので、もっと知りたい方はそちらをご覧ください。

 

リンク:「ハローワークインターネットサービス」

https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_guide.html

 

 

まとめ

いかがでしたか。人事部が覚えておきたい雇用保険を10のポイントにわけて解説しました。人事に所属している以上、従業員の新規雇用や退職は避けては通れません。しっかりポイントを押さえて業務に取り組みたいですね。

 

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